人口減少時代の地域格差と人材戦略―高齢化率×2030年生産年齢人口減少率から見えること ― |HRデータ解説|㈱トランストラクチャ

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HR DATA

人口減少時代の地域格差と人材戦略
―高齢化率×2030年生産年齢人口減少率から見えること ―

要点サマリ

  • 「高齢化率」と「生産年齢人口減少率」には強い相関があり、労働力不足は確実に深刻化していく
  • 地方ほど高齢化と人材減少が同時進行し、都市部との人材供給格差は開く一歩で、これまでのやり方では地方での採用は頭打ちになる
  • 「いかに採るか」ではなく、「今いる人材をどう活かすか」「いかに少ない人数で回すか」へ、経営の舵を切る必要がある

データ解説:高齢化率×生産年齢人口減少率×総人口

【図表:高齢化率×生産年齢人口減少率×総人口】

HRデータ解説「人口減少時代の地域格差と人材戦略 ~高齢化率×2030年生産年齢人口減少率から見えること」スライド

出所:総務省「令和2年 国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口 令和5(2023)年推計」に基づき作成

本データは都道府県別の人口構造を可視化したもので、横軸に「高齢化率」、縦軸に「生産年齢人口増減率(2030年予測ベース)」を配置し、円(バブル)の大きさで各都道府県の「総人口」を示しています。

この散布図から読み取れるのは、「高齢化が進んでいる地域ほど、将来の働き手の減少率が大きくなる」という極めて強い相関関係(R²=0.79)です。

・地方の過酷な現実(図の左下エリア)
秋田県や青森県、高知県などは、高齢化率が35%前後と高く、生産年齢人口減少率は▲15%前後と、労働力不足が深刻化していきます。

・東京都の独り勝ち(図の右上エリア)
一方、東京都の高齢化率は22%程度と低く抑えられ、生産年齢人口は47都道府県で唯一のプラス(2%程度)に位置しています。

・バブルの大きさが示す「二重苦」
東京都・神奈川県・愛知県といった大都市圏は、円の大きさが示す通り人口規模自体が大きく、労働力も維持されやすい。結果として、地方企業は「地域の高齢化」と「都市部への人材流出」という二重苦に直面しています。

中小企業が直面する人事上の課題と3つの提言

このデータは、「人材不足は、採用戦略・採用活動の良し悪し以前に、すでに確定している構造リスク」という事実を突きつけています。これまで通りの「求人を出して、応募を待つ」という短期的な採用強化では、人材不足は深刻化する一方です。中小企業は、中長期の構造改革として以下3点に着手する必要があります。

①多様な働き手の確保
シニア人材の再活用、女性の就業継続サポート、副業・兼業の受け入れなど、労働供給の裾野を広げることが不可欠です。特に高齢化率の高い地域では、これまでの「定年」の概念や役割設計の見直しが重要となります。

②少数精鋭の体制づくり
将来の人員減少を前提に、DXや業務標準化を進め、「少人数でも現場が回り、成果を出せる体制」への転換が求められます。これに伴い、成果にしっかり報いる評価・処遇制度への移行が重要となります。

③採用圏の拡大
元の労働力だけに頼っていては限界が来るため、リモートワークや分散拠点の活用により、「どこに住んでいても働ける」体制の構築が重要です。特に専門性の高いコア人材の獲得が必要な場合は、全国やグローバルまで採用圏を拡大することも視野に入れる必要があります。

まとめ

これらは人事部門任せにするレベルの「人事施策」ではなく、会社の事業継続性を左右する「経営課題」です。
人材を「いかに採るか」ではなく、「今いる人材をどう活かすか」「いかに少ない人数で回すか」へ経営の舵を切り替えた企業だけが、人口減少のメガトレンドの中でも持続的成長を実現できます。

以上