実は5割超の社員が希望!キャリアコンサルティングの力 |HRデータ解説|トランストラクチャ

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実は5割超の社員が希望!キャリアコンサルティングの力
―意識・行動変容、人事制度の運用精度に有効な支援策―

要点サマリ

  • キャリアコンサルティングを受けたことがある正社員は13.9%にとどまる一方、費用負担がなければ利用したいと考える割合は56.1%にのぼり、潜在的なニーズは高い。
  • キャリアコンサルティングを実施する企業の主な目的は、「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため(69.7%)」「労働者の自己啓発を促すため(64.4%)」「労働者の希望等を踏まえ、人事制度を的確に運用するため(53.1%)」である。
  • 企業が等級制度やキャリアパスを整備するだけでなく、キャリアコンサルティングを通じて従業員のキャリア支援を行うことで、人事制度の円滑な運用や離職防止が期待できる。さらに、支援体制の充実は採用時における自社の魅力訴求にもつながる。

データ解説1:キャリアコンサルタントによる相談利用のニーズ

【図表1:キャリアコンサルタントによる相談の利用の要望

出所: 厚生労働省 令和6年度「能力開発基本調査」を元に作成

キャリアコンサルティングを受けたことがある正社員は13.9%にとどまっている。一方で、費用負担がなければ利用したいと回答した割合は、社内利用が31.0%、社外利用が25.1%であり、合計56.1%と半数を超えている。
この結果から、多くの労働者がキャリアに関する悩みや今後の方向性について、専門家に相談したいと考えていることがうかがえる。

また、キャリアコンサルタントが国家資格化されて以降、資格取得者が増加していることに加え、学校教育におけるキャリア教育の浸透により、特に若年層を中心に「自らのキャリアを考える」機会が増えている。こうした社会的背景も、キャリアコンサルティングへの関心やニーズの高まりを後押ししていると考えられる。

データ解説2:キャリアコンサルティングを行う目的

【図表2:キャリアコンサルティングを行う目的(複数回答)】

出典: 厚生労働省 令和6年度「能力開発基本調査」を元に作成

キャリアコンサルティングを実施する企業の目的として最も多いのは、「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため(69.7%)」である。次いで、「労働者の自己啓発を促すため(64.4%)」、「労働者の希望等を踏まえ、人事管理制度を的確に運用するため(53.1%)」が続く。
このことから、キャリアコンサルティングは従業員支援にとどまらず、組織活性化や人事施策の実効性向上を目的とした取り組みとして位置づけられていることが分かる。

データ解説3:キャリアコンサルティングを行う効果

【図表3:キャリアコンサルティングを行った効果(複数回答)】

出典: 厚生労働省 令和6年度「能力開発基本調査」を元に作成

実施による効果としては、「労働者の仕事への意欲が高まった(49.1%)」「自己啓発する労働者が増えた(33.0%)」「人事管理制度に労働者の希望等を的確に反映して運用できるようになった(28.6%)」が挙げられている。
キャリアコンサルティングは従業員の意識・行動変容を促すだけでなく、人事制度の運用精度を高める点でも有効であるといえる。

さらに、HR総研の調査では、「キャリア自律」を推進している企業群において、「直近離職率5%未満」の割合が49%であったのに対し、推進していない企業群では38%にとどまっており、11ポイントの差がみられた。こうした結果からも、キャリア施策は離職防止の観点からも有効性が期待できる。

人事施策への活用例

本調査結果を踏まえ、キャリアに関する人事施策は段階的に検討することが重要である。

【フェーズ1:現状把握・基盤整備】
・社内におけるキャリア相談ニーズの実態調査
・エンゲージメントサーベイへのキャリア関連設問の追加

【フェーズ2:施策導入・仕組み化】
・キャリアコンサルティングを職場活性化施策として位置づけ
・研修・学習支援施策との連動
・若手社員向けの初期キャリア支援の導入
・面談機能の強化による希望・志向の可視化

【フェーズ3:高度化・定着】
・対象層(若手・中堅・管理職)別の施策設計
・社内キャリアパスや異動方針の明確化
・キャリアコンサルタント人材の育成・配置
・KPI(利用率、満足度、離職率、自己啓発状況等)の設定と効果検証

段階的に取り組むことで、導入負荷を抑えつつ実効性の高い施策運用が可能となる。

まとめ

キャリアコンサルティングの実施は、従業員の意欲向上、自己啓発の促進、人事制度の円滑な運用、さらには離職防止など、多面的な効果が期待できる。
一方で、キャリアコンサルティングを受けた経験がある正社員は13.9%にとどまっており、導入・活用の余地は大きい。今後、人的資本経営やキャリア自律支援の重要性が高まる中で、キャリアコンサルティングは他社との差別化につながる施策となり得る。
そのため、企業としては積極的に導入・充実を図っていくことが重要である。

以上