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変わる家族手当
~支給条件の見直しや廃止~

 少し前までサラリーマンの家族は、正社員の夫と専業主婦、子ども2人の4人家族モデルが一般的でした。しかし、結婚、出産、働き方など人生の選択が多様化し、家族の姿は大きく変化しています。2022年版の男女共同参画白書では、家族の姿は「もはや昭和ではない」と表現されました。

 一世帯あたりの平均人数は、1960年の4人から2020年には2人に激減し、単独家族世帯が全世帯の38%を占め最も多くなりました。また、夫婦と子どもの世帯は、2020年には全世帯の25%まで減少し、家族といえば「夫婦と子ども」という概念が大きく変わってきています。(図1、2)

図表1:一般世帯と平均世帯人員

出典:総務省 国政調査

図表2:家族の姿の変化

出典:総務省 国政調査

 企業における家族手当についても廃止や支給条件の見直しが行われています。家族手当は、配偶者や子どもなどの家族がいる社員に対して、その家族構成や人数などの条件に応じて支給される手当です。人事院の調査によると、家族手当制度がある事業所の割合は2021年時点で74.1%、そのうち、配偶者に対する家族手当を支給する事業所の割合は55%(全事業所を100とした場合)となっています。過去からの推移をみると、子どもに対する家族手当は維持されつつ、配偶者に対する家族手当は廃止傾向です。(図3)

図表3:家族手当の採用率

出典:人事院各年の職種別民間給与実態
注)調査配偶者に家族手当を支給しない事業所の割合は、家族手当制度がある事業所の従業員数の合計を100とした割合である

 制度の変化の背景には、家族の姿の変化とともに、その時々の社会の慣習や経済情勢の変化が影響しています。家族手当は欧米には見られない制度です。日本では大正時代から既にあったとみられ、生活給の一部として普及してきました。その後、核家族化が進み、正社員の夫と専業主婦・子どもの家族モデルのもと、「社員の家族が世間並の生活を」「子ども2人を大学まで卒業できるように」といった福利厚生の要素が加わりました。

 1990年代に入って、「賃金は労働の質と量で決まる」という成果主義の広がりから、家族手当見直しの動きが始まります。また、労働人口が減少する中、多様な人材が活躍できる環境の整備が求められるようになります。「世帯主に限定して支給されることが多い家族手当は、女性に不利な賃金である」「家族手当や国の税・社会保障の仕組みが、専業主婦や配偶者の就業調整につながっている」ことが指摘され、配偶者に対する家族手当の支給見直しにつながります。さらに、子どもに対する家族手当については、少子化対策として、配偶者分の原資を振り替え、支給額を増加する企業も現れました。今後も、同一労働同一賃金など社会の要請に合わせて見直しが行われるでしょう。

 家族手当が賃金に占める割合は高いものではないですが、その維持・支給条件の見直し・廃止の意思決定は、その時々の社会からの問題提起や社会課題に対する企業の姿勢を示しているものとも言えます。既存制度の見直しは、「かわいそう」という思考が先に立ち、消極的な意思決定になる場合があります。社会の状況を正確に理解しつつ、自社が大切にしたい軸を起点とした意思決定をし、それをきちんと社員にメッセージとして伝えていくことが、社員の共感や会社の魅力につながっていくのではないでしょうか。

以上