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HR DATA

年収の賞与の割合は約10%~20%|社員の意識を高めるための賃金制度

 年末が近づくにつれて、冬の賞与の使い道を考え始める方も多いのではないでしょうか。
今回は賞与について取り上げます。賞与は、月例給与の後払いや生活給といった生計費調整機能と、会社業績や個人の成果に応じて分配する業績連動機能の2つの機能を持ちます。会社業績に応じて賞与額を決定する仕組みにすることで、経営状況に応じた柔軟な支給額調整や、社員の売上意識を高めることが期待できます。一方、月例給与と異なり、賞与は保証された給与として規程されていない企業も多いため、年収に占める賞与の比率(賞与比率)が過度に高い場合、従業員にとってはリスクとも言えます。

 図表1は令和4年度の役職別・企業規模別の年収(縦棒)および賞与比率(折れ線)を示しています。企業規模にかかわらず、係長級以上の役職者の賞与比率は、非役職者よりも約4%高いです。役職者には会社業績に応じて支給額を変動させる余地を多く設ける一方、非役職者には業績や成果に応じて支給額を変動させる余地を抑えていると考えられます。しかし、役職者の中で係長級、課長級、部長級を比較すると差がなく、むしろ部長級の賞与比率は低下しています。

 企業規模で比較すると、同じ役職でも企業規模が大きいほど年収が高く、賞与比率も高い傾向があります。10~99人規模の部長級と1000人以上規模の係長級を比較すると、年収は同程度ですが、後者の方が賞与比率が高いです。このことから企業規模が大きいほど業績連動性を重視していることが推察されます。

 

図表1:役職別・企業規模別、年収と賞与比率

出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
注1)縦棒:年収、折れ線:賞与比率
注2)年収=所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額
注3)賞与比率=年間賞与その他特別給与額÷年収”

 業種による傾向の違いも確認できます。図表2は、令和4年度の業種別の年収水準と賞与比率を示しています。横軸には産業計を100としたときの各業種の年収指数を、縦軸には産業計が原点にくるよう賞与比率をプロットしています。年収が高い業種ほど賞与比率が高い傾向があります(決定係数R² = 0.7911)。また年収水準が高いゾーンにおいて、年収が近い業種を比較すると、中長期的な成果や安定的な職務遂行が重要な業種の賞与比率が低い傾向が見られます。

 

図表2:業種別、年収指数と賞与比率

出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
注1)年収指数:産業計の平均年収を100としたときの各業種の平均年収の割合
注2)産業計が原点になるようプロット
注3)業種は抜粋”

 『賞与は毎年○か月分出て当たり前』ではないことを社員に理解してもらうことが重要です。社員一人一人が自分の役割を果たすことで会社業績が伸び、得られた利益(原資)が責任の大きさや個人の成果に応じて配分される。このことをしっかりと社員に伝え、理解してもらうことで売上意識が高まり、企業の持続的な成長に繋がります。業績が大きく予算を超過する際には、決算賞与などを導入し、支給することも社員のモチベーションに対しては大変有効な施策です。
また、人材不足が深刻な経営課題になっておりますが、業界によって年収や賞与比率については傾向に違いがあります。業界における年収水準と賞与比率を定期的に把握し、外部水準に対するポリシーを明確にし、賃金制度を整備していくことが重要です。人材の定着や採用の競争力を維持向上させていくうえで欠かせない人事施策と言えるでしょう。
以上

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