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失業率の推移
~完全雇用状態の日本、今後の変化は?~

 直近約30年間の日本の失業率はおよそ2%から5%の間で推移しています。5%に達したのはバブル崩壊後とリーマンショック後であり、一時的に高い水準となっていますが、平均値では約3.4%に留まっています。3%以下の状態は、失業者がほとんどいない完全雇用の状態とも言われていることから、日本の失業率は低い水準にあると言えます。

 一方で、諸外国に目を向けると、日本と比較しておおむね高い水準で失業率が推移していることが分かります。1991年から2019年の間の失業率を平均値で比較すると、日本では約3.4%であるのに対して、フランス、イタリア、ドイツでは7%を超えており、アメリカ・イギリスでも5%弱の水準です。日本では、諸外国と比較して労働者に対する求人の数が多く、失業率が低くなっているのです。

(図表:Unemployment rate(%)(G7))

出典: Inretnational Labor Organization(ILO), “Unemployment rate by sex and age — ILO modelled estimates, Nov. 2020 (%) — Annual”
 
 失業率がどの程度の水準であれば低いと言えるかについては諸説ありますが、2019年8月に日本の完全失業率が2.2%となった際、総務省は「景気など構造的要因による失業率はほぼゼロとなって」おり、「完全雇用に近い状況にある」との見方を示しています¹。また、イギリスの経済学者W.ベバリッジは失業率が3%の状態を完全雇用状態と定義しています。

 過去の推移や諸外国との比較から、日本の失業率は景気悪化時には一定の失業者が生じて失業率が上昇するものの、平時においては完全雇用状態に近い、低い水準にあることが分かります。

 今後の短期的な見通しとしては、COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大による経済活動の低迷の影響がこれから生じるものと思われ注視が必要ですが、日本全体の人手不足感を鑑みるに過去2回のピークほどは上昇しないのではないでしょうか。

 一方で、中長期的に将来を見据えると、高齢化によるシニア層の余剰、産業構造やテクノロジーの変化による労働力に関する需給の変動、働く意識の変化などの影響が予想されます。具体的な例を挙げると、今後もITや福祉の分野では求職者よりも採用数が多くなる一方、事務等の領域では省力化やAI化が進んで採用数が少なくなることが予想されます。労働力の需給のギャップが大きくなることにより、失業率が高くなる可能性があるのです。
以上

参考文献
¹:日本経済新聞「8月の完全失業率2.2%、総務省「完全雇用に近い状況」」(2019年10月1日)