第8回(最終回):PDCAによる改善サイクル ― エンゲージメントを「継続的に高める経営プロセス」へ - 株式会社トランストラクチャ

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第8回(最終回):PDCAによる改善サイクル ― エンゲージメントを「継続的に高める経営プロセス」へ

エンゲージメント向上の取り組みが形骸化してしまう最大の理由は、「一度測って、施策を打って終わる」点にある。
人的資本経営においてエンゲージメントを本当に活かすためには、単発の調査や施策ではなく、継続的に改善が回り続ける仕組み=PDCAサイクルとして組み込むことが不可欠である。
エンゲージメントは、外部環境や組織フェーズ、人材構成の変化によって常に揺れ動く。
だからこそ、固定的な正解を求めるのではなく、変化を前提としたマネジメントプロセスとして捉える必要がある。

Plan:測定目的と活用シナリオを明確にする

PDCAの起点となるのが「Plan」である。
ここで重要なのは、何のためにエンゲージメントを測るのかを明確にすることだ。
単に「人的資本開示に必要だから」「他社もやっているから」という理由で実施すると、サーベイは目的を失い、形だけの取り組みになってしまう。
Planフェーズでは、以下の点を整理する必要がある。
・エンゲージメントを経営KPIとしてどう位置づけるか
・全社・部門・階層のどのレベルで活用するのか
・離職率・生産性・評価結果など、どの指標と結びつけるのか
また、年1回の全社サーベイに加え、特定テーマに絞ったミニサーベイを組み合わせるなど、目的に応じた測定設計も重要である。
Planの質が、その後のPDCA全体の質を左右すると言っても過言ではない。

Do:分析結果を「具体的な行動」に落とす

Doフェーズでは、サーベイ結果や要因分析をもとに、実行可能な改善施策へと落とし込む。
ここで陥りやすいのが、「全社一律の抽象的な施策」に終始してしまうことである。
エンゲージメント改善では、
・全社で取り組むべきテーマ
・部門ごとに異なる課題
・管理職や個人レベルでの対応
を切り分け、それぞれに適した施策を設計することが重要だ。
例えば、
・全社では経営メッセージや評価方針の見直し
・特定部門では業務負荷や役割設計の調整
・管理職には1on1や評価フィードバックの質向上
といった形で、分析結果に基づいた「打ち手の粒度」をそろえる必要がある。

Check:「変化」をモニタリングする

Checkフェーズのポイントは、スコアの上下だけを見るのではなく、どの要素がどう変化したのかを丁寧に追うことである。エンゲージメントは短期間で劇的に改善するものではない。
そのため、
・全体スコアの経年の推移
・要因別スコアの変化
・特定層(若手・管理職など)の動き
を定点観測し、改善の兆しや停滞の要因を把握することが重要となる。
また、離職率や欠勤率、パフォーマンス指標と合わせて確認することで、エンゲージメント改善が経営成果にどう影響しているかを検証できる。

Act:成功と失敗を次の施策に活かす

Actフェーズでは、Checkで得られた示唆をもとに、施策を見直し、次のPlanへと反映する。ここで重要なのは、「成功施策の横展開」と「うまくいかなかった施策の学習」である。
エンゲージメント改善では、必ずしもすべての施策が成功するとは限らない。
重要なのは、失敗を責任追及の材料にするのではなく、学習の機会として活かす文化を持つことだ。この姿勢そのものが、心理的安全性を高め、結果としてエンゲージメント向上につながっていく。

エンゲージメントを「経営の定常業務」へ

PDCAを回し続けることで、エンゲージメントは一過性の人事施策ではなく、経営の定常業務として定着していく。定期的に状況を確認し、対話し、改善する。このサイクルこそが、人的資本経営を実態のあるものにする。
エンゲージメントとは、測定結果そのものではない。
それは、人と組織の関係性を見直し続けるための経営装置なのである。

【参考】当社支援メニューのご紹介
― エンゲージメントを「測って終わらせない」ための一気通貫支援―

人的資本経営を推進するうえで、多くの企業が直面する課題は明確である。
それは、「エンゲージメントの重要性は理解しているが、どのように測り、どう活かし、どう改善すればよいのか分からない」という点だ。
当社は、エンゲージメントを単なるサーベイや人事施策として捉えるのではなく、人的資本経営を実装するための経営インフラとして位置づけている。その考え方は、支援メニューの設計思想そのものに反映されている。

エンゲージメントとストレスチェックを同時に捉える意義

当社支援の大きな特長の一つが、エンゲージメントサーベイとストレスチェックを同時に実施できる点である。この二つは、従来は別の目的・別の文脈で扱われることが多かった。
ストレスチェック:法令対応・リスク管理のための「守り」の施策
エンゲージメント:組織活性化・価値創出のための「攻め」の施策
しかし、人的資本経営の視点に立てば、この二つは本来、表裏一体の関係にある。
ストレスが高く、心身の負荷が蓄積している状態で、高いエンゲージメントを維持することは難しい。一方で、仕事への意味づけや成長実感が乏しければ、ストレスは増幅されやすいなどだ。
当社では、この関係性に着目し、「健康状態」と「貢献意欲」を同時に可視化する設計を行っている。

データを統合して初めて見える「組織の状態」

エンゲージメント単体、あるいはストレスチェック単体では、組織の状態を部分的にしか捉えることができない。当社の支援では、両者のデータを統合的に分析することで、次のような示唆を導き出す。
・エンゲージメントは高いが、ストレスも高い「燃え尽きリスク層」
・ストレスは低いが、エンゲージメントが低い「停滞層」
・両方が良好な「健全・高貢献層」
こうしたセグメントを把握することで、画一的ではない、優先順位のある施策設計が可能になる。これは、人的資本経営において「人への投資」を適切に配分するうえで、極めて重要な視点である。

分析から施策設計までの一気通貫支援

また当社の支援は、測定や分析で完結しない。
エンゲージメントサーベイ、ストレスチェック、定量分析、定性分析、要因分析を通じて得られた示唆を、実行可能な施策へと落とし込むところまでを一貫して支援する。
具体的には、
・経営や人事向けの分析レポート
・管理職向けのフィードバック資料
・部門別の課題整理とアクションプラン策定
といった形で、「誰が・何を・どう変えるのか」を明確にする。
これにより、サーベイ結果が「報告資料」で終わるのではなく、組織変革の起点として機能する。

法令対応と価値創出を両立する設計

ストレスチェックは法令対応として実施が求められる一方で、運用次第では形骸化しやすい領域でもある。当社では、法令要件を確実に満たしつつ、エンゲージメント分析と接続することで、法令対応を価値創出につなげる設計を行っている。
これにより、義務だから実施するから、経営に活かすために実施するという位置づけへの転換が可能になる。

人的資本経営を“回し続ける”ために

人的資本経営は、一度の取り組みで完成するものではない。
当社の支援は、エンゲージメントとストレスの両面から組織を定点観測し、PDCAを回し続けるための伴走型支援を重視している。
エンゲージメントを高めることは目的ではなく、企業が持続的に価値を創出し続けるための手段である。当社は、測定・分析・施策設計・定着支援を通じて、人的資本経営を「構想」から「実装」へと進める支援を行っている。
エンゲージメントは、人事施策の一要素ではない。
それは、企業が人をどう捉え、どう活かし、どのような未来を描こうとしているのかを映し出す、経営そのものの指標である。
当社は、エンゲージメントとストレスの両面から組織を捉え、人的資本経営を実効性のあるものにするための支援を今後も提供してまいります。

以上

本稿が少しでも皆さまの考えるきっかけとなれば幸いです。最後までお付き合いただいたことに感謝申し上げます。