合理的・構造的アプローチで企業人事を進化させる
コンサルティングファーム

企業規模別・業種別の管理職比率 ~組織の管理者は10%で足りる~

 管理職は経営陣と一体となり、会社を牽引する非常に重要な役割を担うポジションです。重要性は極めて高く、指揮指導により組織を牽引する社員が全社員に占める割合は決して多くはないはずです。管理職比率の妥当な水準はどの程度なのかを探るべく、企業規模別・業種別の管理職比率のデータを解説します。

 図表1は、企業規模別の正社員に占める部長比率・課長比率を示しています。企業規模が大きいほど部長比率は低く、課長比率は高い傾向にあることが分かります。部長比率に関しては、大企業であれ、中小企業であれ、部として設ける機能の数に大きな差が無く、必要な部の数に大きな差が無いため、大企業の方が社員に占める部長の数が少なくなることが考えられます。

 一方の課長比率については、中小企業では組織規模が小さいことから、部長が課長の役割も兼ねるケースがあることや、大規模な組織では課長代理・課長補佐など、ラインマネジメントを担わないものの年功的な観点から課長級として処遇される社員を抱える余裕があることなどが影響していることが考えられます。

 こうした傾向があるとは言え、部長比率・課長比率の合計はいずれの企業規模においても10%程度と、顕著な差がある訳ではありません。この数字は、実感とかなりの乖離があるのではないでしょうか。管理監督者の比率という観点では、特に年功的な人事管理を行っており平均年齢の高い会社では、30~50%という会社も散見されます。単に組織の管理者という視点では10%程度で足りるのに対してかなりのギャップがあることが分かります。

(図表1)管理職比率(平成30年)

出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』

 次に、図表2で業種別に管理職比率をみてみると、産業計や他の業種と比較して、建設業では突出して高く、運輸業・郵便業は低いことが分かります。建設業では、1つの現場に対して元請け、下請け、孫請けがあるなど、ビジネスの構造が多重構造となっており、関与社数が多く、各社ごとに管理職社員がいるため、業界全体としても管理職比率が高くなっているのです。

 一方の運送業では、管理職は運送・配送という単一の業務を担う人材を取りまとめるため、管理する部下の数を多く持てること、収益性の観点から管理する社員よりも現業に関わる社員を多くする方が効率的であることから、管理職比率が低く抑えられているのです。

(図表2)産業別部長比率および課長比率(平成30年)

出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』

 管理職比率が図表1や図表2の水準並みである場合も、管理職比率と管理監督者比率の間に大きな乖離がある場合には、総額人件費や労務的の観点で問題があり、早急な見直しが必要です。

 また、最適な管理職比率はビジネスモデルのあり方や正社員比率などにも依存するため、外部の水準によらず、ユニークな場合もあります。定期的に生産性の指標や、管理される側の従業員の働きやすさなどをモニタリングし、自社に合った水準を探り、上手くコントロールすることが望ましいです。

以上

TOPICS