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有給休暇は取りやすくなったか
~取得率推移と産業別比較~

 年次有給休暇の取得率は低いと言われてきました。労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的とした有給休暇ですが、請求することへのためらいから取得率は低調であるとされています。2019年より働き方改革の一環として、年に5日の有給休暇を取得させることが経営者の義務となりました。有給休暇の現状と、労働時間、その課題はどういったものでしょうか。

 労働者一人当たりの平均年次有給休暇取得率の推移を見ると、ここ数年取得率はやや上昇傾向です。しかし、政府は令和7年までに有給休暇の取得率を70%までにするという目標を掲げており、現在そこにはまだ及ばず、まだ「有給休暇がとりやすい」とはまだ言い難いのではないでしょうか。このまま取得率を上げていくためには、各企業において有給休暇取得の促進を図っていくことが必須です。
 では、労働時間はどうでしょうか。総実労働時間・所定内労働時間・所定外労働時間の推移を見ると、2018年までは横ばいが続きましたが、コロナウィルスの影響による労働時間の抑制も影響してか2020年は総実労働時間・所定内労働時間・所定外労働時間すべて減少しました。コロナウィルスは労働時間に抑制にいい意味でも悪い意味でも影響を与えたと言えます。社会の変化を契機に、労働者の意識の変化も起こりました。仕事とプライベートの両立ができる労働時間や、休暇の取得は労働者にとって非常に重要なポイントになっています。道半ばの有給休暇取得率、労働時間の抑制がどのように推移していくかは、各企業の今後の取組みにかかっていると言えます。

(図表1:有給休暇取得率と労働時間の推移)

出典:厚生労働省 令和3年就労条件総合調査
厚生労働省 令和3年版 労働経済の分析 -新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響-
 ※労働時間:労働者が実際に労働した時間数。休憩時間は給与支給の有無にかかわらず除かれる。有給休暇取得分も除かれる。
 
 産業別の有休取得率を見ると、産業別に有給休暇の取得率に差があることがわかります。特に電気・ガス・熱供給・水道業のインフラ関連については73.3%と高水準です。一方、卸売業、小売業や宿泊・飲食サービス業などは50%を切っており、有給休暇の取得がし辛い現状が見て取れます。不特定多数の一般顧客がメインの顧客である産業ですが、近年人材不足は深刻です。業務が回らない部分の解決のため、例えばホテルのフロント受付業務を人ではなく、機械に置き換える、小売店でのセルフレジの導入を進めている企業も増えています。システムの活用と社員の活躍のバランスを取り、社員が休みを取ることができる状況を模索することは必須です。

(図表2: 産業別労働者1人平均有給休暇取得率)

出典:厚生労働省 令和3年就労条件総合調査
 有給休暇の取得は労働者の権利です。必要に応じて気兼ねなく、取得できるようにするには組織の風土の問題があります。有給休暇を取ることを申し訳なく感じることなく申請を出すことができる組織の雰囲気の醸成です。その雰囲気醸成の手前には、有給休暇取得をしても仕事が滞りなく進む状態が必須です。有給休暇で休む人がいたとしても業務が滞らない体制、準備、システムの活用など、人の数だけでなく業務全体を見通した改善を検討する必要があります。
社員がメリハリを持って働く環境を整え、労働生産性の向上、社員の満足度を向上させる風土と体制づくりを実現し、本当の働き方改革を実行していくことが求められます。

以上