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HRデータ解説

HR DATA
地域間の人口移動 ~都市集中により人事管理の見直しが必要~ | 人事アナリシスレポート®

地域間の人口移動 ~都市集中により人事管理の見直しが必要~

 わが国では現在、本格的な人口減少の下にあることは既知のことです。人口に影響を与えるのは、出生動向、死亡動向の2つの要素となります。日本は出生率が低く、寿命が延びているので人口減少となります。日本全体は減少しますが、これを都道府県別などの地域別にみるとさらに深刻な状況がわかります。地域の人口動向は、地域間の転入と転出の差が目立つ地域が増えてきているため、出生動向、死亡動向と同時に地域間の人口移動の人数が重要となります。  国立社会保障・人口問題研究所の「地域別将来推計人口」によると、今後2045年までに約14%の人口減少となります。地域別には一律ではなく、東京圏は6%しか減少しませんが、関西圏は17%、名古屋圏は12%、他の地域では20%もの人口減少となると予想されています。地域別にに人口減少のインパクトが異なるということです。例えば東京圏は2020年は3600万人2045年は3400万人と大きく変わりませんが、他の地域(東京・関西・名古屋以外)は5500万人から4400万人と激減します。この人数は市場の大きさを表すために、東京圏はビジネスとして変わらない魅力的な商圏でありますが、地方は広い面積で多くの人数が減少することから、急速にまた驚くほどマーケットとしての魅力が低下するということです。 (図表)地域別人口推移予測(単位:千人) 出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年」東京圏は埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県、名古屋圏は岐阜県,愛知県,三重県、関西圏は京都府,大阪府,兵庫県,奈良県とし、それ以外を地方圏と定義しています  この人口減少と相対的都市圏集中は、日本におけるビジネスを大きく変えることになります。多くの企業は地方マーケットをより効率的に運営することを考えるでしょう。またビジネスの効率性という観点では、都市圏に経営資源を集中する企業も多くなると考えられます。各都道府県に支店を置くという感覚がなくなる可能性が高いということになります。社員を固定的に地域に配置することはより非効率となるため、徹底したシステム化などビジネスモデルそのものが大きく変わる可能性が高いと考えられます。  この都市圏集中は地域の物価差をより大きくすることになります。特に地代家賃の都市、地域間格差は極めて大きくなるでしょう。そのため社員の給与は地域によって異なるコントロールが必須となります。  現在の新型コロナにより、リモートワークの急速な普及があり、都市圏集中の度合いが少なくなる可能性もありますが、大きなトレンドとしては、都市圏集中と予測されており、これにより企業としては組織の在り方や働き方に影響をあたえるでしょうし、給与の地域格差も大きな課題となるでしょう。 以上

民事上の個別労働紛争相談件数  ~急増するパワハラ相談~ | モチベーションサーベイ

民事上の個別労働紛争相談件数 ~急増するパワハラ相談~

 近年、パワハラやセクハラなどの職場でのトラブルに関する話題をよく耳にするようになってきました。今回は、民事上の個別労働紛争相談件数とその内訳のデータを基に、労働者と事業者間でのトラブルの内容や傾向について解説します。  民事上の個別労働紛争相談とは、個々の労働者と事業者との間の労働問題についての相談のうち、労働基準法違反などに関わる事案を除いたものです。図表1から分かるように、民事上の個別労働紛争相談件数は増加傾向にあり、2019年度には過去最高の約28万件に達しています。2001年の個別労働紛争解決制度導入以降、右肩上がりに増加していた相談件数は、リーマンショックが起きた2008年度に急増し、さらに増加した現時点では2002年の件数の約3倍になっています。 (図表1)民事上の個別労働紛争相談件数 出典:厚生労働省『個別労働紛争解決制度施行状況(令和元年)』  図表2では、相談内容ごとの内訳を示しています。2008年度までは解雇についての相談件数が最も多かったものの、その後は減少傾向です。一方、雇止めに関する相談が2008年以降増加している背景には、2000年代前半の人材派遣の規制緩和、リーマンショックによる雇止めの増加、その後の人材派遣の規制強化という一連の変化があります。不況下では解雇や雇止めに対する相談が多かったのですが、直近10年では自己都合退職に関する相談が増えてきています。この背景には人手不足があると考えられます。  そして、直近8年間は、いじめ・嫌がらせの割合が最も高くなっています。背景としては、厚労省がハラスメント防止対策の報告書をまとめ、法整備への議論を進めてきたことなどにより、ハラスメントに対する意識が高まり、問題が顕在化したことが考えられます。 (図表2)相談内容別 相談件数の推移 出典:厚生労働省『個別労働紛争解決制度施行状況(令和元年)』 注)1回の相談において複数の内容にまたがる相談が行われた場合には、複数の相談内容を件数として計上しているため、図表1の件数と整合しない。  相談件数が増加傾向にあることから、労働者に対して相談制度が浸透していることが分かります。また、年度別に相談内容の内訳を見ると、景気や労働市場の状況、法整備・改正の影響を大きく受けていると言えるでしょう。  2020年6月にはパワハラ防止法が施行され、労働者のハラスメントに対する感度はさらに高まることが予想されます。  企業の事業運営に支障をきたさないためにも、これまで以上に法改正や時代の変化による労働者の要請を俊敏に察知し、未然にトラブルを防ぐための措置を講じる必要があります。 以上

日本の人口ピラミッドから、会社の社員の年齢構成と人事課題を再認識する | 人材開発

日本の人口ピラミッドから、会社の社員の年齢構成と人事課題を再認識する

 今後の日本の人口ですが、現在2020年から2050年に向かい大幅に減少します。この現象と同時に高齢化が驚くほどのスピードで進行することになります。このトレンドはすでに十分に認識されていますが、今後の日本企業、人事管理に決定的でかつてない影響を与えることを再認識する必要があります。マクロトレンドとしての人口推移が個別企業の人事管理にどのような影響を与えるかを、現時点で十分に認識し、今から備えなくてはなりません。  下図は2050年の日本の人口ピラミッド予想です。一見して生産年齢人口が減少し、老齢人口が激増、年少人口が減少します。重要であるのは生産年齢人口比率で、2050年はほぼ50%の比率まで低下します。生産年齢人口比率が高いレベルにあった1990年と比較すると、一見してそのインパクトは想像以上であるとわかります。1990年は生産年齢人口は約70%でした。   出典:総務省統計局『国勢調査』及び『日本の将来推計人口(平成29年推計)』出生中位・死亡中位仮定による ※2015年以前は総務省統計局『国勢調査』, 2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(平成29年推計)』[出生中位(死亡中位)推計]による    少子高齢化が進行するとともに。生産年齢人口の負担が激増することも非常に重要な論点ですが、個別企業の人事管理上最も大きな影響があるのは、人手不足となります。新たな人材を採用しようとしても、若手社員の採用は今よりも驚くほどハードルが高くなります。 中高年社員、ないしは60歳~65歳の前期老齢人口の戦力化は避けて通れない極めて重要な施策です。さらには65歳以上の社員の活用も視野に入れなくてはなりません。  人手不足、老齢社員の徹底活用に加え女性活用、外国人活用、BPRの推進なども含めて、30年後に向けて現時点から改革を進める必要があります。日本全体としても、個別企業としても人口問題はゆっくりとしたスピードで深刻さを増すことになりますので、改革改善のタイミングがとりづらいといわれています。しかし今からこれらの施策を実施しなければ、若手社員は離職していき、再教育や意識改革ができていない中高年、老齢社員のみが在籍する企業となってしまう可能性が非常に高いと言わざるを得ません。今一度日本の人口ピラミッド及び自社の社員構成を再認識する必要があります。

企業規模別の年収水準 | 人事アナリシスレポート®

企業規模別の年収水準

 年収水準は基本的に、企業規模の大きさに連動して高くなる傾向があります。企業規模が大きいほど、効率的に利益を出す事ができ、結果社員への配分を大きくすることが出来るからです。例えば、大企業の持つブランド力は、顧客ロイヤリティによる長期的な売上確保・高価格化による高利益率を可能とします。また、人材採用という観点においても、採用コストを抑制することが可能です。  図1は、2019年における、雇用期間に定めのない労働者の年収水準を、企業規模別・年齢階層別に示したものです。基本的にはどの年齢階層でも企業規模の大きさに連動して年収水準が高くなっています。また、全年齢階層の平均で見ると、 1000人以上規模と500~999人規模では、160万円の差(月収約13万円差)、500~999人規模と100~499人規模では、70万円の差(月収約6万円差)が存在しています。このことから、最大規模区分と最小規模区分では最大230万円の差(月収約19万円差)が生じている事となります。 (図1) 出典:厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』 年収=(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)で計算し加工  全産業で見た場合、企業規模の大きさに連動して年収水準が高くなるという、年収の規模間格差は確かに存在しますが、産業別に見ると必ずしもそうは言えません。  図2は、図1のデータを総務省の標準産業分類に従って細分化したものですが、例えば不動産・物品賃貸業は、規模の大きさと年収水準の高さに殆ど連動がありません。他の産業で見ても、特定の年齢階層において同様の事が言えます。  従って、産業別に見た場合、特定の産業・年齢階層においては、企業規模の大きさに依存しない年収水準になっていると言えます。 (図2) 出典:厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』図1のデータを産業別に区分して加工 ※企業規模の大きさに連動して年収水準が高くなるという前提のもと、中規模の500~999人規模に対し1000人以上規模・100~499人規模それぞれの水準を比較し、逆転している箇所を強調しています。  日本国内における人材の流動化は、今後緩やかに進行していくと考えられます。それに伴って、採用競争力の強化・ハイパフォーマンス人材の流出リスク低減化の必要性が一層高まってくると想定されますが、その際、外部労働市場の水準に基づく給与水準の検討は必須です。場合によっては同産業・同規模だけでなく、異なる規模の外部水準も視野に入れた上でベンチマークを行う必要があると言えます。              

総労働時間の推移 | 人事アナリシスレポート®

総労働時間の推移

 昨今、日本国内における一般労働者※の総労働時間は、政府による働き方改革の推進もあって減少傾向となっています。直近では法令に基づいて、大企業が2019年4月、中小企業が2020年4月に時間外労働の上限規制が適用されたこともあり、今後も減少傾向が継続すると推測されます。引き続き、労働時間の削減が社会的に要求されると考えたとき、自社水準を適正なレベルで推移させるためにも、外部水準がどの程度の値で推移しているか把握しておく必要があります。  図1は、従業員5名以上規模の企業における、一般労働者一人当たりの平均年間総労働時間の推移です。一番数値の大きかった1996年は約2050時間でしたが、直近の2019年時点では約1980時間であり、70時間も減っています。これは月に換算すると毎月の労働時間が6時間弱減少していることを示しています。また、直近3年間における減少傾向は特に顕著です。働き方改革を実施する企業が増えたことによって、約2020時間で長年横ばいだった推移が、2017年から2019年にかけては40時間も減少しています。これは毎年、月の労働時間が2時間弱ずつ減少していることを示しています。 (図1) 出典:厚生労働省『毎月勤労統計調査 (長期時系列表 実数・指数累積データ)』  図2は、上述のデータを企業規模別に細分化したものです。全体の傾向としては、基本的に企業規模が大きくなるに従って労働時間が少なく推移しています。また、直近の2019年時点で比較すると、500人以上規模が約1920時間で一番少なく、30-99人規模が約2010時間で一番多く推移しており、企業規模によって労働時間に最大90時間の差が発生していることになります。これは、毎月の労働時間に最大8時間弱の差があることを示しています。 (図2) 出典:厚生労働省『毎月勤労統計調査 (長期時系列表 実数・指数累積データ)』  近年の労働時間の減少は、働き方改革などの経営施策による成果であり、ポジティブにとらえるべきです。しかし実際には上述のとおり、一年あたり月に2時間程度の減少にとどまっており、先進各国と比較して長時間労働であることには変わりありません。それを踏まえると、これからの数年で年間100時間以上の減少を目標とするくらいの施策が求められます。  また、労働時間の企業規模間格差は非常に大きく、中小企業は深刻な状況です。効率化のためのシステム化や働き方の見直しのような経営努力は継続しつつも、企業規模の拡大施策、例えばM&A施策で規模の拡大に伴う効率性を獲得できれば、経営にとっても社員にとっても魅力的であり、メリットを享受できるということになります。 ※一般労働者 …短時間労働者以外の労働者  短時間労働者…1日の所定労働時間が一般の労働者よりも短い、又は1日の所定労働時間が一般の労働者と同じでも、1週の所定労働日数が一般の労働者よりも少ない労働者