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労働者の自己啓発の実施状況
~本人任せではなく企業の支援を~

 日本企業の能力開発費用の割合が他国に比べて圧倒的に少ない状況です。人的資本経営の潮流の中でも、人材に対してどのように教育を施すかは重要であり、企業が社員の能力開発に積極的に取り組む必要は言うまではないですが、社員各自の自己啓発はどうでしょうか。

 労働者(正社員)の自己啓発の実施状況を見ると、この10年以上、自己啓発を実施した人の割合は40%台で推移しています。特に大きな波も無く横這いの状態で推移をしており、平成21年度以降は50%を超えることがありませんでした。日本の労働者がいかに自己啓発を行っていないかがわかります。自己啓発に時間を割けない理由は多種多様かと思いますが、そもそもの仕事が忙しい、女性の場合は家事や育児の問題、そもそも何をテーマに取り組めば良いのかがわからないといった理由もあり得ます。企業側もその事情を調査するなどし、自己啓発の促進を検討する必要があるかもしれません。

図表1:自己啓発をしているもの(正社員)の割合の推移

出典:厚生労働省 能力開発基本調査より作成

 労働者(正社員)の自己啓発に対する支援を実施している事業所の推移は、平成20年代前半に比べ、現在は約80%の事業所が実施しています。金銭的支援や情報提供、就業時間や休暇の配慮など様々ではありますが、自己啓発への支援自体はある程度はなされていると考えられます。しかし、自己啓発を実施した労働者の現状を見ると、これらの支援が十分に活用されているとは言えないのではないでしょうか。せっかく準備した人材への投資は確実に活用されているか、確認が必要です。

図表2:労働者(正社員)の自己啓発に対する支援を実施している事業所

出典:厚生労働省 能力開発基本調査
※平成26年度調査ではこの調査を実施していない。

 産業別での状況を見ると、産業ごとでの特徴が見られます。産業別のOFF-JTの実施と自己啓発を行った労働者の割合を見ると、主に企業が主催する研修などのOFF-JTを実施している割合の大きい産業では、自己啓発を行う労働者の割合も大きいのです。金融業・保険業、情報通信業などはOFF-JT実施、自己啓発ともに高めで、宿泊業・飲食サービス業などのサービス関連の産業ではOFF-JT実施も自己啓発も低めという特徴が出ています。
企業がOFF-JTをしっかりと実施したことで、社員の自己啓発意欲が高まるとも考えられますし、自己啓発が盛んな風土で組織としての取組への期待の声が多く、実施に至るということもあるかもしれません。組織で働く労働者に対しての自己啓発は自分で勝手に頑張るものという考え方ではなく、組織と労働者が相互に求めるものを共有し、自己啓発への取組推進を一緒にしていくことで、自己啓発状況が前進する可能性があります。

図表3:産業別 自己啓発を行ったものの割合とOFF-JTを実施した事業所の割合

出典:厚生労働省 能力開発基本調査 令和4年度より作成

 日本企業の能力開発費用は他国に比べて圧倒的に少ない状況ですが、まさにその結果が自己啓発の状況からも見えています。しかし、企業側としてもすべて研修などを準備して学習させるのは不可能です。各個人の自己啓発への積極性を高めていくためには、学びを仕事にどう生かすべきなのかを考えるきっかけづくりが重要です。例えば、研修などの機会を通して、仕事で生せるフレームワークや手法などを学ぶことで、知識欲を高め、成長に向けた動機付けを行います。その後も実践への活用と振り返りを継続することで、学びが定着していくのではないでしょうか。また、支援を行ったならば、教育投資に対する効果の検証をして、次回の教育施策検討に繋げる必要があります。

以上