従業員満足度と勤続意向が高い企業の特徴とは? |HRデータ解説|㈱トランストラクチャ

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HR DATA

従業員満足度と勤続意向が高い企業の特徴とは?
―強み維持・活用 × 構造的課題の解決の二層戦略 ―

要点サマリ

  • 前回、弊社のサービス「モチベーションサーベイ」の結果から、社員が定着する企業の共通指標を解説しました。
  • 今回は、総合満足度※1や勤続意向※2のスコアが高い企業のデータをもとに、これらに影響を与える要因とその平均点の関係についてご説明します。
  • 今回の総合満足度、勤続意向が高い企業であっても、成果などの容認や会社への信頼感、やりがいといったところに相対的な課題が見られます。
    ※1総合満足度:「私は総合的に当社に満足している」 ※2勤続意向:「私は今後も当社で働いていきたい」

データ解説1:総合満足度に対して影響がある項目

【図表1:総合満足度への影響が強い項目の影響度×平均点】

HRデータ解説「従業員満足度と勤続意向」スライド1

出所:弊社実施モチベーションサーベイ実績から作成/総合満足度・勤続意向の平均点上位10社の数値/重回帰分析を用いて総合満足度への影響度を数値化

図1は、総合満足度への影響度のある項目が抽出され、その影響度と総合満足度の平均点の散布図になります。影響度は中位の項目を基準とし象限を分け、また平均点は5点満点中の上位25%水準(3.75点)を基準として象限化しています。影響度が高い項目と平均点の関係から、優先的に以下の2つの象限に着目します。

まずは影響度・平均点ともに高い項目(右上の象限)に着目します。既存の強みであり、今後も継続して維持、強化、活用すべき領域です。「職場の設備」「会社の誇り」「経営理念の認知」「法令遵守」「上司関連」です。これらは総合満足度が高い企業に備わっており、企業の特色や強みとして打ち出す要素となっています。補足として法令順守は企業運営の前提条件であり、高スコアは一定の安心材料となります。

次に影響度が高く平均点が低い項目(左上の象限)に着目します。総合満足度向上のため、優先的に改善を検討すべき領域と考えられ、「成果や努力の容認」「会社への信頼」が挙げられます。。

データ解説2:勤続意向に対する影響がある項目

【図表2:勤続意向への影響が強い項目の影響度×平均点】
HRデータ解説「従業員満足度と勤続意向」スライド2

出典:弊社実施モチベーションサーベイ実績から作成/総合満足度・勤続意向の平均点上位10社の数値/重回帰分析を用いて勤続意向への影響度を数値化

勤続意向への影響度が高い項目についても、同様の見方ができます。

影響度・平均点ともに高い項目(右上の象限)に該当する項目は、「上司との関係性」「職場での意見尊重」「会社の誇り」です。勤続意向が高い企業は、周囲との関係性の高さが確認され、心理的安全性との関連が示唆されます。

そして影響度は高く平均点が低い項目(左上の象限)は「会社への信頼」「成果や努力の容認」「やりがい」などが該当します。これらは、今後の施策検討における重要な着眼点となります。

総合満足度や勤続意向が高い企業において共通して現れている傾向としては、会社への誇りや上司との良好な関係性といった強みが見られます。一方で、成果に対する承認や会社への信頼感、やりがいは相対的に改善余地のある領域です。満足度が高い企業であっても、成果を承認する仕組み化ややりがいの喚起には苦戦しており、難易度の高いテーマといえます。これらの項目は評価制度の透明性、役割や職務の設計など構造的な要素にも関わるため、関係性の強化だけでは十分に改善しにくい特性があります。

人事施策への活用例

総合満足度や勤続意向への「影響度」と各指標のスコアを掛け合わせて分析することで、強みと優先課題を明確にできます。特に、影響度が高く平均点が低い項目は、人的投資の優先順位を判断する重要な材料となります。ただし弱みを補うだけでなく、強みを起点に施策を設計する視点が不可欠です。

例えば、今回の満足度の高い企業のように上司との良好な関係性が強みなのであれば、上司がキャリア共創のパートナーとして成長を支援する仕組みを整えることができます。難易度の高いテーマであっても強みを生かしながら施策を展開していくことで、会社への信頼関係を醸成し、やりがいの持てる組織文化へと昇華させることができるでしょう。

まとめ

本分析が示すのは、「満足度が高い企業であっても、強みの維持、活用と構造的な課題への着手という二層の戦略が必要である」という点です。影響度と水準を掛け合わせた視点は、人的投資の優先順位を明確にする実践的なフレームとして活用いただけます。

以上