投稿日:2026.03.17 最終更新日:2026.03.17
慢性的な人手不足の実態
~賃金・求人倍率の関係2025~
目次
要点サマリ
- 厚生労働省「一般職業紹介状況_職業別労働市場関係指標(実数)」、「賃金構造基本統計調査」をもとに、職種別有効求人倍率の推移と職種別の時間当たり単価との関係性を解説します。
- 保安職業従事者、建設・採掘従事者・介護関係職種はコロナ前から一貫して人手不足が深刻であり、時間当たり単価は他職種に比べ低い傾向にあります。一方で、事務従事者、管理的職業従事者の人手不足感は小さいものの、今後DX化による役割見直しが進むことが考えられます。
- 人手不足は賃金だけの問題ではなく、業務設計やビジネス構造に起因する経営課題であり、中長期的にDX化・機械化を進め、人が担う役割を再定義することが必要です。
データ解説1:職種別の有効求人倍率(コロナ前2019年から3年ごとの推移)
【図表:職種別の有効求人倍率(コロナ前2019年から3年ごとの推移)】

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況_職業別労働市場関係指標(実数)」に基づき作成(2023年~2025年調査、2024年~2025年公開)
※2025年の有効求人倍率を降順に整理
※2025年データは2025年1月~2025年10月の平均値を使用
※介護関係職種は、「福祉施設指導専門員」、「その他の社会福祉専門職業従事者」、「家政婦(夫)、家事手伝い」、「介護サービス職業従事者」の合計
職種別の有効求人倍率を見ると、保安職業従事者、建設・採掘従事者、介護関係職種は、2019年から2025年にかけて一貫して高水準で推移しており、人手不足が構造的な問題であることが分かります。これらの職種は現場での人的対応が不可欠な職種であり、代替が難しい点が共通しています。一方で、事務従事者や管理的職業従事者の有効求人倍率は低く、2025年の有効求人倍率はコロナ前の2019年を下回る水準となり、DX化や業務効率化の進展により、業務代替が進んだことも考えられます。この結果は、人手不足が景気変動だけでなく、職種構造や業務特性に根差した経営課題であることを示しています。
データ解説2:職種別の有効求人倍率と時間当たり単価の関係
【図表:職種別の有効求人倍率と時間当たり単価の関係】

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況_職業別労働市場関係指標(実数)」(2023年~2025年調査、2024年~2025年公開)、厚生労働省「賃金構造基本統計調査_職種別(大分類)_10人以上」(2024年調査、2025年公開)に基づき作成
※時間当たり単価=きまって支給する現金給与額÷(所定内労働時間+超過実労働時間)
※介護関係職種は介護職員(医療・福祉施設等)の給与を使用
次に、職種別の有効求人倍率と時間当たり単価の関係性を見ると、人手不足が深刻な職種ほど、時間当たり単価が相対的に低い傾向が見られます。特に保安職業従事者、建設・採掘従事者、介護関係職種といった現場系職種では、社会的に不可欠な役割を担っているにもかかわらず、賃金水準は相対的に低く、給与面で十分に報われにくい状況にあることがうかがえます。加えて、業務量の平準化や生産性向上が進みにくく、付加価値を高めにくい点も、人手不足を慢性化させる一因と考えられます。一方で、有効求人倍率が低い事務従事者や管理的職業従事者は、時間当たり単価が相対的に高い水準にあります。今後もDX化や業務効率化の進展により、これらの職種では人が担う業務が選別・高度化され、付加価値の高い役割にシフトしていく可能性があると考えられます。
人事施策への活用例
人手不足への対応は、採用強化や賃上げといった短期施策だけでは限界があります。企業としては、DX・機械化を前提に業務を再設計し、今後人が担う役割や業務内容を中長期的な視点で考える必要があります。
例えば、定型業務が多い職種は業務量そのものを減らし、人が担う業務は改善・マネジメント・付加価値創出へシフトさせる。一方、現場系職種は設備投資により生産性を高め、人は専門性や判断力を要する役割を担うなどの見直しが考えられます。これは時間を要する抜本的な改革となりますが、その中で人事は、採用や配置にとどまらず、人材要件を再定義し、人材ポートフォリオを描いた上で必要人材を育成していくことが求められます。
まとめ
人手不足の背景には、企業のビジネス構造や人材定義に起因する経営課題があります。そのため、DX化や機械化を進めて人が担う役割を再定義し、中長期視点で人材ポートフォリオを設計することが、経営と人事に求められています。
以上