給与だけじゃない!~中小企業の採用力を上げる『法定外福利費』活用術~ |HRデータ解説|㈱トランストラクチャ

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給与だけじゃない!
~中小企業の採用力を上げる『法定外福利費』活用術~

要点サマリ

  • 厚生労働省「就労条件総合調査」によれば、30~999人規模の企業では1人1ヵ月あたりの法定外福利費は4,500円程度となっています。
  • 大企業では住居関連や医療保健などに一定規模の投資が行われる一方、30~99人の企業では食事と私的保険へ集中的に拠出しています。
  •  「うちは中小だから福利厚生は弱い」と割り切るのではなく、法定外福利費を「コスト」ではなく「人的投資」として再定義し、戦略的に使い切る発想が求められています。

人材確保や従業員定着率の低下は、中小企業にとって喫緊の課題です。給与や昇給だけでは差別化が難しい中、従業員満足度を高める手段として注目されているのが「福利厚生」です。特に、法律で義務付けられていない「法定外福利費」は企業の裁量で設計できるため、人材確保における競争力を高める重要なポイントになります。
本稿では、厚生労働省の「就労条件総合調査」から企業規模別の傾向を整理し、中小企業における他社との差別化ポイントを考察します。 
 

データ解説1:1人1ヵ月平均労働費用(2021)

「就労条件総合調査」では、雇用によって生ずる一切の費用を「労働費用」として調査しており、1人1ヵ月あたりの現金給与額、法定福利費、法定外福利費、教育訓練費などの実態を把握することができます。 

【図表:1人1ヵ月平均労働費用(2021)】
HRデータ解説_中小企業の採用力Slide1

出所:厚生労働省「就労条件総合調査」(2021年調査、2022年公開)に基づき作成

令和3年の調査では1人1ヵ月平均労働費用は408,140円であり、その内訳の大部分は現金給与額です(334,845円,82.0%)。一方、現金給与以外の内訳は、金額の大きい順に法定福利費50,283円(68.6%)、退職給付等の費用15,955円(21.8%)、法定外福利費4,882 円(6.7%)と続きます。
一般に企業規模が大きいほど福利厚生も手厚いと思われがちですが、実は30人~999人までの企業規模では、法定外福利費の支出額にほとんど差はありません。

データ解説2:企業規模別法定外福利費(2021)

図2:企業規模別法定外福利費(2021)
HRデータ解説_中小企業の採用力Slide2

出所:厚生労働省「就労条件総合調査」(2021年調査、2022年公開)に基づき作成

図2では、企業規模別に法定外福利費の支出額を示しています。30人~99人、100~299人、300~999人の企業規模では、いずれも4,500円前後で大きな違いがありませんが、1,000人以上の企業は5,600円程度と1,000円以上の差があります。 

図3:企業規模別法定外福利費の内訳(2021)
HRデータ解説_中小企業の採用力Slide3

出所:厚生労働省「就労条件総合調査」(2021年調査、2022年公開)に基づき作成
注記:全9項目のうち金額が少額で規模による差も小さい5項目(「文化・体育・娯楽に関する費用」、「労災付加給付の費用」、「慶弔見舞等の費用」、「財形貯蓄奨励金、給付金及び基金への拠出金」、「その他の法定外福利費」)は割愛している

大企業では住居や医療保健関係などに一定規模の投資が行われている一方、中小企業では総額そのものが小さく、限定的となっています。なかでも特徴的なのは、30〜99人規模の企業で食事と私的保険制度への拠出金が極めて高いことです。これは、自社の人材構成を見極め、最も刺さる施策に集中していると考えられます。

差別化のポイント

中小企業は従業員同士の顔が見える関係があるため、福利厚生を全方位に広げる必要はありません。むしろ、従業員の生活に密着した施策に特化し、費用対効果を検証しながら段階的に取り組むことが重要です。
人材確保がますます難しくなる中、「うちは中小だから福利厚生は弱い」と割り切るのではなく、法定外福利費を「コスト」ではなく「人的投資」として再定義し、戦略的に使い切る発想が求められています。

以上