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HR DATA

データで読み解く女性活躍の現在地
~管理職比率とライフコース変遷が示す課題~

 

要点サマリ

  • ライフコースの希望の推移を踏まえ、女性管理職比率の推移を解説します。
  • 若い世代ほど仕事と家庭の両立を望む傾向が強まるなど、社会全体および女性個人の間で「女性が働き続けること」への意識が高まっており、女性の労働者は増えていくと考えられます。
  • 日本における女性管理職比率は上昇基調にあるものの、政府目標とされている30%とは開きがある状態です。
  • 真の女性活躍を推進するには、単に機会を提供するだけでなく、個人の意思を尊重し、働きやすい環境を整備するための包括的な取り組みや、企業全体の意識改革が不可欠です。

女性活躍が取りざたされてから久しいですが、現在活躍はなされていると言えるでしょうか。労働力不足が懸念される中、人材の多様性(ダイバーシティ)を確保することが不可欠となっており、女性の労働力は重要なものと言えます。
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)では「活躍機会の平等と職場慣行の見直し」「職業と家庭の両立支援」「意思尊重による両立の実現」を基本原則として定めています。この方針は女性がライフステージの変化に応じて働き方を選び、継続的に活躍できる社会の実現を目指すものです。

データ解説1:ライフコースの希望の推移

ライフコースの希望の推移を見ると、専業主婦希望は下がり続け、子どもも持つが、仕事も続けるという両立のコースが上がり続けています。未婚女性、未婚男性ともにこの傾向であり、女性本人も理由は様々あれど働き続けるという気持ちを持っているということになります。また、結婚せず仕事を続けるという希望も上昇傾向であり、このまま進むと、女性の就業割合は高まっていく可能性が充分あります。

【図1 ライフコースの希望の推移】

出典:国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(独身者調査)」
非婚就業コース:「結婚せず、仕事を続ける」 
DINKsコース:「結婚するが、子どもは持たず、仕事を続ける」 
両立コース:「結婚し、子どもを持つが、仕事も続ける」 
再就職コース:「結婚し子どもも持つが、結婚あるいは出産の機会にいったん退職し、子育て後に再び仕事を持つ」 
専業主婦コース:「結婚し子どもを持ち、結婚あるいは出産の機会に退職し、その後は仕事を持たない」

データ解説2:女性管理職比率

「働く」と言っても、どのような働き方をするかは様々です。活躍機会に男性と女性の差はないのかを確認する術として、女性の管理職比率を見ます。女性の管理職の割合は年々緩やかに上昇している傾向ではありますが、部長相当職については7.9%といまだに10%を切る状況です。諸外国と比較すると日本はまだまだ低い割合であることは変わりません。

【図2 役職別女性管理職割合の推移】

出典:厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査 企業調査結果概要」

人事施策への示唆

女性の活躍には土台となる「職業と家庭の両立支援」、「意思尊重による両立の実現」が不可欠なものです。ある企業では、ダイバーシティ推進の専門部署を立ち上げ、経営と一体となって多様な人材の活躍に向けての取り組みを行っています。会社の現状をつかむためのワークショップや、社員へのアンケートなど一連の取り組みを行うことで会社全体への意識が醸成されている状態です。
単純に女性に活躍機会を与えるのみではなく、どのように活躍してもらうのが好ましいのか、その環境はあるのか、そして本人の意思はどうなのか、細やかに観察し、会社の状況に応じて検討する必要があります。

まとめ

現在、多くの会社においてキャリアのスピードや仕事内容は男女平等になっています。仕事においては男性、女性といった括りは関係ないという状況ではないでしょうか。この状況が発展していけば急激に景色が変わる可能性はありうると考えます。一人一人の能力を最大限発揮してもらう環境をいかに作っていくか、重要なタイミングと言えます。

以上