TOP > 対談 > 第4回 「経営に新たな価値を提供する人事システム」

トランストラクチャのコンサルタントと、人事領域の有識者の方や企業の経営者、人事責任者の方との対談を通して、
企業が直面している各種課題を掘り下げ、原因を探るとともに、課題解決の糸口となるような斬新な提案をしてまいります。

第4回 経営に新たな価値を提供する人事システム

日本において人事システムは、人事業務をより効率的に行うためのシステムだった。しかし、環境変化や人事管理の高度化により、業務処理の範囲では経営ニーズを満たすことができなくなっている。人事管理システムの企画・開発・販売を行う、カシオヒューマンシステムズ株式会社の佐藤政弘社長と人事コンサルティング会社トランストラクチャの林明文社長で、現在の人事システムの現状や今後の在り方も含め、あるべき人事システムについて話し合った。

日本における人事システムの現状

日本の人事システムの現状についてお聞きしますが、日本において人事システムの市場のトレンドをどう見ていますか?
佐藤
人事給与システムの導入という意味では、普及率が過半数を超えたという印象です。1,000名以上の大企業ではほぼ導入が進んでいますが、300~1,000名の規模の会社では、7~8割、300名の会社ではまだ導入がされていない会社も多く、全体では5割程度の普及率という印象です。
人事システムの普及を考える上で、量と共に考える必要があるのは質です。現時点では人事システムは給与計算のために行っている“給与システム”であり、本当の意味での“人事システム”として活用されている企業は少ないように思います。
佐藤
これまでの経験では、お客様の中で人事システムを、当初期待した機能を予定通り使いこなしている会社はほとんどありません。

佐藤写真

海外における人事システム

逆に日本においては、今後人事システムが普及していく可能性があるとも言えます。一方アメリカでは人事システムが高いレベルで普及しています。日本とアメリカの大きな違いは何でしょうか。
佐藤
アメリカと日本ではそもそも就業観が違います。日本では、新卒社員を人が育成し仕事に就けていく。一方でアメリカでは、職務記述書に人を当てはめるイメージです。そのため職務と人の関係を高度に管理していかなくてはならないという背景があります。
職務の情報も人の情報も的確に管理しなければ、採用も配置もできないという背景があるからですね。したがって“給与システム“ではなく、“人事情報システム“が必要とされるということですね。

今後の人事管理の方向性と人事システムの可能性

林写真

佐藤
日本から見ると人材活用のシステムは、通常の人事システムとは別に“タレントマネジメントシステム”などと言っています。現在の人事システムを十分に使いこなせていないのに、より複雑なタレントマネジメントシステムを導入しても十分に使いこなせないのではと懸念を抱かれる可能性があります。
現在、景気が上向きに進んでいる中で、タレントマネジメントシステムは注目を集めつつあると思いますが、実際の需要に直結していないようにも感じます。
佐藤
確かに現状人事管理の意識が弱く、タレントマネジメントに関心がない対象層がいることは事実です。ただし、今だからこそ人事システムを用いた人材活用が重要と考えられるお客様も多くいます。

人事システムの経営貢献度

例えば、人事システム導入で利益が100億円から300億円になる等、業績にどれだけインパクトを与えるかが明確であれば、経営者も人事システムに大きな投資をするでしょう。制度設計のコンサルティングに関しても同様で、経営に対するインパクトが目に見えれば、経営者はより多くの投資をすることになるでしょう。
佐藤
人事システムで経営貢献ができるかどうかは、現実的には人事部が強いかにもよると思います。事業部制を敷いている会社では、人事部の果たすべき機能が変化しており、他部門に向けてデータをオープンにし、人事データの活用を始めている事例もあります。一方で、事業を展開する中で必要な人材管理について、人事システムの機能をフル活用されている例は少ないです。
人事コンサルティングについても同様で、活用が十分されていないです。逆に言えば業績に直結するインパクトのある制度を提供すれば、市場を拡大していくことができるでしょう。人事システムもコンサルティングも、今後経営への貢献度を高めなくてはいけないですね。
佐藤
システムの課題で言えば、人事データの適切な蓄積がされていないために、必要人材の状況が分からないとよく耳にします。しかし我々がご提案を差し上げる「人材の見える化のサービスは、内容が分かり易く好評をいただいています。小さな一歩かもしれませんが、このような足場を固めるサービスから経営への貢献度を高めていきたいです。

人事サービスの供給体制の問題

人事サービスを供給する側は、細分化されているという問題があります。一方で需要側、経営者からのニーズは、必要な人材を揃えるためのサービスが欲しいというものです。このギャップを埋めるには、人事業界で、経営に資するサービスとは何かを議論し、ワンセットでサービスを提供できるようにしなくてはならないと思うのです。
佐藤
我々も、人事業界内の交流を増やし互いの強みを活かす方法を考えており、事業の立ち位置を変えていこうとしています。一方でワンセットのサービスの提供については、我々供給側だけの問題でなく、人事サービスを受容するお客様側の人事レベルが上がっていないことも課題かもしれません。
需要側のレベルが上がるのを待つのではなく、供給側が早急に真に価値あるサービスを提供することが望ましいと考えます。そのためには、人事サービスが、そもそも経営に対してどのような価値提供をするものかを明確にしなくてはいけないですね。
佐藤
人事業界として、単純な機能を提供するのではなく、より本質的な価値をどう提供していくかが重要なのだと私も思います。社長という立場で、この1年経営に携わり、人事データの活用の仕方についても新しい見方をするようになり、その価値というものを再認識することができました。
人事サービスの真の価値提供を追求するためにも、今後も人事サービスを供給する側の一層の交流を進めていきたいものです。

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佐藤 政弘

1992年カシオ計算機(株)入社。人事ソリューションの営業マンとしてこれまで1,000社以上のお客様への提案、導入に関わる。事業企画、人事統轄部部長を経て、2013年8月より現職。企業の人事・給与ソリューションから人財マネジメントへの取り組みまで幅広く推進。

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林 明文

青山学院大学経済学部卒業。トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。

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