TOP > 対談 > 第2回 「管理部門における人事機能へ期待」

トランストラクチャのコンサルタントと、人事領域の有識者の方や企業の経営者、人事責任者の方との対談を通して、
企業が直面している各種課題を掘り下げ、原因を探るとともに、課題解決の糸口となるような斬新な提案をしてまいります。

第2回 管理部門における人事機能へ期待

これまでの日本の企業経営において、人事管理が重要であるという認識が深く浸透しているとは言えなかった。しかし、昨今の経営環境の変化に対応していく必要性が問われる中で、経営における人事管理の重要性の認識と、人材そのもののレベルアップが期待されるようになってきた。CFOとして企業の経営の一線で活躍の後、現在は明治大学で教鞭をとる落合稔教授と人事コンサルティング会社トランストラクチャの林明文社長で、経営における人事管理への期待について話し合った。

経営者、CFOから見た人事の現状

企業のグローバル化に伴い、人事の仕事はかつてのルーティンワークから、高度なマネジメントが求められるようになってきました。今後は今まで以上に人事管理が経営戦略や経営計画の達成度合いに深く影響を及ぼすと感じています。そのため、戦略的、合理的な人事管理を行わないと、経営戦略の達成に結びつかないのではないかと思います。
落合
本来人材とは業績をあげる競争力の原点のはずですが、これまで人事部は経営という観点からは距離があり、人事責任者は経営のPDCAにタッチしないことがよく見られる現象でした。かつてはミドル層が中心となり、会社を動かす体制が日本企業の力となっていましたが、現在は環境変化が要因となり、トップによるスピーディな経営判断やリーダーシップが必要となっています。
そのためにも人事は経営の意思決定に必要な情報の提供とサポートが必要になります。
経済情勢が変わっても現存の組織構造に依存する企業も多く、国内の過去の文化を重視しながら、グローバル化等の多様化に対し、積極的に対応できる人事制度に抜本的に変更する例が少ないと感じています。
落合
海外では企業の拠点配置から人材活用の方法や働き方まで、多様化に対してより効率的に柔軟に対応しています。その点では日本のレベルはまだ低いと言えますね。

落合写真

CFOの人事的な視点

日本におけるCFOには管理担当役員が当てはまると思いますが、人事的分野を担っているにもかかわらず、人事的な議論が足りないと感じます。管理担当役員はより人事的観点を持つべきではないでしょうか。
落合
非常に重要なポイントだと思います。アメリカのCFOは基本的に財務管理中心ですが、日本の管理担当役員は人事、財務、経営企画、グループ会社管理等幅広い領域を担っており、"番頭的"ですので、当然人事により深い知識と知見がなければなりません。
管理担当役員に財務面での責任があります。企業のコストの中で人件費は大きな比重を占めるコストですが、人件費コストの管理という観点、要はコストとして妥当であるかという観点でも、CFOの人事管理に対する理解を深めなければならないのではないでしょうか。
落合
そうですね。これまで管理担当役員は人事部長に人材の采配を任せてきましたが、人材にまつわる費用をマネジメントする意識をもっと強く持つべきと思います。

人事に対する期待~経営・CFO、人事部は何をすべきか~

林写真

日本では今、グローバル化への対応に加え、高齢化が進行しています。環境変化に対応するためには、旧来的人事管理から新人事管理にシフトしていく必要があります。
落合
財務諸表に載ることもなく見逃しがちではありますが、「人」は見えない無形資産の代表です。
人材という資産に積極的に投資を行う企業は好業績の傾向がありますね。またこれからの人事部は、ビジネスの一線での経験や知識も必須になると思います。それには個々の部門の現場の流れを知るため、現場を若いうちに経験すると同時に、マネジメントプロセスに積極的に参加し、理解することが重要だと思います。それが現場と経営を結ぶきっかけになり、全体を視野に入れた戦略立案を行うようになる等、人事の動きは変わってくるはずです。
現在の日本の人事問題の根源は、役員人事ということもできます。日本にはこれまで役員への教育投資はあまり行われませんでした。しかし、現在の複雑な環境における意思決定をすべき役員の教育や人事は、最も重要な点だと思います。役員を選抜・登用し、教育・モチベートしていくことはあまり語られていませんから。
落合
これから人事を戦略にビルトインしていくにあたり、社員からトップまで人事管理を行っていくことが必要です。しかし日本の役員人事の給与水準は海外と比較すると低いですね。リスクをとりにくいこと、終身雇用的な色が強く、成果を出すことへの意識が低くなりやすいことは、日本企業の役員のレベル向上の足枷にもなっています。
この先企業・人事が変革していくためには、役員人事の仕組みから変えていくことの重要性を感じますね。

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落合 稔

明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科教授。米系監査法人勤務をへて株式会社トミー入社。同社米国にてトレジャラー、本社にて専務取締役CFO。経理・財務をはじめ、株式公開、グローバルファイナンス、M&A、事業再生、新規事業開発、海外事業、IR、グループ経営管理等々を歴任。2004年より現職。

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林 明文

青山学院大学経済学部卒業。トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。

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