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対談 - Talk -

第1回
企業の競争力を高めるためには、経営者自らが、合理的で科学的な人事管理に取り組むべき。

学習院大学経済学部経営学科 教授 今野 浩一郎氏 株式会社トランストラクチャ
代表取締役 シニアパートナー
林 明文
神奈川大学工学部助手、東京学芸大学教育学部講師、同大学助教授を経て、92年より現職。主に人材に関わる分野の著書を多数上梓。 トーマツコンサルティング入社後、多くのコンサルティングに従事。大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。講演、執筆多数。

※「東洋経済オンライン」に掲載された記事を再収録しています。

企業の経営環境が大きく変化しつつある中、企業がさらに競争力を高めるためには、人事改革が不可欠だ。 その実現に向け、企業はどのような課題を抱えているのか。 人事分野の定量分析のリーディングカンパニー「トランストラクチャ」の林明文社長と、人材に関わる分野を広く研究する学習院大学の今野浩一郎教授が話し合った。

なぜ、日本企業では 人事の課題解決が進まないのか

林: 日本企業が厳しい経営環境下で生き残るには、経営資源の一つである、「人」のポテンシャルを高めることが不可欠です。
「わが社は人が財産」と語る経営者は少なくないですが、実際に従業員の生産性やコストなどについて適正かどうかを判断できている人は少ないように感じます。人件費についても、依然として職能資格制度などの年功で決めている企業もあります。

今野: 私は20年以上前から、日本型の職能資格制度が抱える問題点を指摘してきました。従業員の高齢化の進展などにより制度自体が破綻することが明らかです。ただ、日本企業は従業員との円滑な関係を保ちたいといったところも多く、なかなか大ナタを振るうような人事改革を進めることができなかったのです。

林: 確かに。経営者も人事部長も、自分の任期中には波風を立てたくないというところでしょうね。時折、人事改革を進めた企業が話題になることがありますが、ほとんど、強力なトップダウンによるものです。経営者自らが率先して取り組まなければ、人事の課題解決にはできません。

今野: 本来、人事施策は、5 年後、10年後に自社はどうありたいかという経営戦略や経営計画に基づいていなければなりません。これにより、適正な人材開発、配置あるいは人員数なども導かれるはずです。しかし現状は、景気がよくなれば新卒の採用数を増やし、悪くなれば減らすといった、場当たり的な企業が多く見られます。

多様な人材活用のためには正しい人事管理が必須になる

林: 大学進学率が50%を超える時代には、「大卒総合職」という概念も過去のものになるでしょう。

今野: そのとおりです。同じような年齢の若者を新卒で大量に採用し、同じように出世し、同じようなライフスタイルを送るという仕組みもなくなります。

林: 今野先生は早くから、非正規社員、高齢者、女性など多様な人材の活用を提案されていますね。

今野: はい。少子高齢化による労働力不足が進む中では、再雇用の高齢者や外国人も含め、そのような多様な人材を戦力にできるかどうかが企業経営の成否を決めると言っても言いすぎではありません。
人事制度についても、年功型の職能資格制度ではなく、職務主義的なものにならざるを得ないでしょう。このときに大事なのが、自社の人事制度や運用が適正に機能しているか正しく判断することです。

林: 当社では「人事アナリシスレポート」というサービスを提供していますが、これは人件費や人員数・構成、人事制度と運用ほか、企業の人事領域の現状を客観的に判断できるようになっています。

今野: それは非常に興味深いですね。複数の企業を比較できる標準的なツールがあれば、自社の人事の課題を可視化することもできますね。私の研究にも使えそうです。

林: ありがとうございます。ぜひ、先生のご意見もいただきたく思います。多くの企業にとって、人事改革は待ったなしの状況です。合理的で科学的な人事管理の認知がさらに広がるとともに、経営者自ら関心を持ってほしいと願っています。

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