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人事分析手法ノートVol.1

第6回 「賃金水準の妥当性」

執筆:久保 博子   監修:林 明文

<チャート>
【左グラフ】
自社の賃金水準が外部と比較してどの程度の水準であるかを分析します。
黒太線が外部水準。数値は外部水準からの乖離率。

【右グラフ】
青いグラフは、年齢個数率。
※乖離率と個数率については分析概要参照。
<分析の概要>

 この分析は自社の賃金水準と自社の社員が所属する労働市場の賃金水準と比較し、自社の水準の高低を把握し、賃金水準の妥当性を検証するものです。本分析には、以下の指標を用います。

①乖離率:外部水準から上下にどの程度乖離しているかを見る指標です。
「(自社水準-外部水準)÷外部水準」で表します。プラスに乖離していれば高く、マイナスに乖離していれば低い水準であると判断できます。

②範囲内個数率:外部水準に近いか、それとも離れているかを見る指標です。
全体の年齢個数(22歳~60歳であれば38が年齢個数となる)のうち、各年齢の中位にあたる人の賃金水準が当該年齢の外部水準から一定の範囲内(外部水準の上下10%以内)に収まっている年齢の個数の割合です。この個数率が高ければ高いほど同水準であると判断できます。

 乖離率が10%以内で、個数率が高ければ外部と同水準です。乖離率は0%であっても個数率が低ければ同水準とはいえません。乖離率と個数率両面から、自社の水準を把握します。

 本分析では、外部ベンチマーク選定の考え方が非常に重要です。外部ベンチマークは、自社の社員が属する労働市場という観点で検討する必要があります。同業種同規模の会社であることが一般的ですが、小さい規模であっても会社の技術力やブランド力等により、規模の大きい会社に人が転職したり、もしくは、規模の大きい会社から人を採用することを想定している場合は、そこが属する労働市場となります。

 ベンチマークデータには、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や業界団体の統計調査等様々な統計資料があります。尚、統計データごとに、含まれている賃金(特に手当)が違うので、データの取り扱いには注意が必要です。

<分析結果から>
 属する労働市場において、採用競争力がある魅力的な賃金水準かどうかを判断できます。外部より高い水準であれば、賃金面においては魅力的です。他方、外部水準よりも高いということは、労働市場において割高で雇用しているということも言えます。一般的には、外部と比べて同水準か、やや高い水準が適正な水準であるということを1つの見解と考えるケースが多いですが、労働市場における自社の水準の立ち位置が明確であり、そのターゲットどおりに自社水準が設定されていれば適正と判断できるでしょう。

 また、分析は年収・月収・賞与それぞれで行うことで、より詳細な検証できます。業績好調時に年収は競争力があると判断できても、月収が外部より低く、賞与が高いケースなどは、業績標準時はここまでの競争力はないといった判断となります。反対に業績悪化時に年収の競争力がなくても、月収が同水準で賞与が低い水準であれば、業績標準時は競争力が戻ると判断できます。

執筆

久保 博子 (くぼ ひろこ)

コンサルティング部 シニアマネージャー
国内大手生命保険会社を経て、現職。プロジェクトマネージャーとして組織・人事コンサルティング業務に携わる。人事制度設計を始め、グループ人事管理の仕組みやセカンドキャリア制度、研修企画等、数多くの企業の人事改革プロジェクトを担当。他方、自社内の商品開発業務や、管理部門の実務責任者として全社の基盤構築業務にも従事。

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監修

林 明文 (はやし あきふみ)

代表取締役 シニアパートナー
青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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