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人事分析手法ノートVol.1

第3回 「適正な人員構成(年齢別)」

執筆:古川 拓馬   監修:林 明文

<チャート>

この分析は現在の年齢別の人員と適正な人員から作成します。適正な人員は総人員数を一定として、自己都合退職率から各年齢の人員を理論的に算定します。また、現状の人数はそのまま集計します。
<分析の概要>
 この分析は“適正年齢別人員構成”と呼ばれており、安定的な事業運営を行う上で望ましい年齢別の人員構成と、企業のこれまでの業績や採用活動の結果としてできた現在の人員構成に差異が生じているかを分析するものです。加えて、新卒採用や中途採用の採用計画を立案する際の重要な参考材料となります。

 適正な人員構成とは、企業が長期的に安定した事業運営を行うには、毎年の採用人数と定年退職人数が同数となるモデルを想定しています。具体的には新卒採用年齢が22歳で、定年年齢が60歳とした場合、全社員を勤続年数の38年で除すると、1歳毎に必要な人数が算出できます。実際は、入社後に自己都合で退職する社員がいますので、自社の自己都合退職率を考慮すると、緩やかな傾斜の“台形型”が適正な構成と言えます。但し、適正な人員構成の傾斜は企業毎の自己都合退職率に依存しますので、自己都合退職率が低いと傾斜がきつくなり、逆に高いと傾斜は極めて緩やかになります。

 このようにして、適正な年齢別人員構が算定できれば、現状の年齢別人員と比較することで、年齢別人数の過不足が明確になります。また、適正な人員構成から、適正な新卒採用人数と平均年齢も算定可能になります。
<分析結果から>
 分析の結果、適正な人員構成と現状に大きな乖離がある場合、具体的には人員構成の過不足の比率が10%を超えている場合は問題と判断することができます。また、平均年齢が適正な人員構成時の平均年齢に比較して5歳以上高い場合などは組織の高齢化が進んでいると判断することができます。

 この分析結果は業種や企業のライフサイクルによって結果が大きく異なりますが、成熟期を向かえているような製造業などでは40歳以上の中高年社員が非常に多く、若手社員が少ない傾向にあります。このような場合、職場の活性化が深刻な問題となります。翻って、創業期のベンチャー企業や飲食業などでは離職率が高い為に、中高年社員が極端に少なく、若手社員が極めて多い傾向にあります。このような場合、計画的な人事を行うことが極めて困難となります。

 年齢別の人員構成が歪であった場合、人員構成を適正化するには、計画的な採用と人員削減などの雇用施策を並行して行う必要があります。しかし、人員削減は雇用に関わる問題である為、慎重な検討を要すると共に実施に困難を伴います。現実的には、中長期にわたり適正化を図っていく必要があり、適正化するのに時間を要します。
 多くの日本企業では、企業業績が良い時には新卒採用を大量に行い、悪い時には採用を抑制するという施策を行うことが多く、長期的、継続的な企業成長を意識した人員構成管理を行っていないのが現実です。

 この分析は、企業が長期的に安定的人事管理を行っていくためには極めて重要な分析です。外資系企業のように年齢に依存しない人事管理を行っている企業は別ですが、長期雇用を前提としている多くの日本企業においては、この分析によって、これまでの自社の人事管理の在り方が問われると同時に、今後の自社の人事管理の在り方を決める重要な判断材料となる分析と言えるでしょう。

執筆

古川 拓馬 (ふるかわ たくま)

コンサルティング部 ディレクター
大学卒業後、大手国内独立系コンサルティング会社において、人材開発、組織・人事コンサルティングの企画営業業務を行う。その後、当社に入社。コンサルティング部門のシニアマネージャーとして、組織・人事コンサルティング業務に携わるほか、研修・セミナー講師やプロダクト開発、人事分析の品質管理、社内教育に従事。

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監修

林 明文 (はやし あきふみ)

代表取締役 シニアパートナー
青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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