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人事分析手法ノートVol.1

第2回 「適正な人員構成(等級・グレード別)」

執筆:林 明文  

<チャート>

この分析は等級別の適正な人員と現状の人員から作成します。適正な人員は一定の仮設で理論的に算定します。また現状の人数はそのまま集計します。
<分析の概要>
 この分析は、“簡易適正人員構成分析”“等級ミスマッチ分析”などと呼ばれており、企業が本来求めている人員の構成と、人事制度及び運用で生み出してきた人員構成に差異が発生しているかを分析しているものです。経営に必要な人材をちゃんと提供しているかがはっきりとわかる分析です。

 この分析のポイントは、適正な等級・グレード別の人数を算定することです。そもそも等級・グレード別の適正な人数という考えがない企業や意識していない企業が多いので、適正な人数構造を算定するということが、すぐにはわかりづらいようです。
 適正な等級・グレード別の人数の算定方法をおおまかに解説すると、次のようなものになるでしょう。まず正社員(総合職)の内、適正な人数がわかりやすいのは、管理・監督者になります。これは組織のポスト数に連動していますので、組織機構上のポスト数を数えればわかるということになります。管理・監督者に相当する各等級・グレードの人数は、各組織階層で数えればよいということになります。非管理・監督者の人数は、正社員の人数から管理・監督者の人数を引いたものになります。非管理・監督者の等級・グレード別人数は、等級・グレードの標準的な在籍年数と昇格率をもって算定します。

 実務的にはもっと細かな留意点はありますが、大まかには上記のような考え方となります。適正な人数が算定できたら、現状の人数と単純に比較し、等級・グレード別人数が適正であるかの判断ができます。
<分析結果から>
 分析の結果はグラフを見ればすぐにわかります。適正な人数構造と実際の人数構造が大きくずれている場合は、人事制度が経営と連動していないということになります。経営に必要な人材を適正に供給していないということです。グラフを見るだけでの判断は客観的でないので、さらに凹凸の人数の比率を計算して判断することもあります。この凹凸の比率(乖離率)を計算して、10%以上乖離がある場合には、人事制度に問題があると判断します。

 多くの日本企業では、社員の高齢化→高等級化という結果が多くみられます、現在では高い等級・グレードの社員が余剰している(低い等級・グレードの社員が不足している)ということです。これはバブル期大量採用や年功的な人事制度のために、年齢が上昇すると必要以上に、高い等級・グレードの社員が増えるという事です。結果高い単価の人材の比率が高くなり人件費も高くなるという問題も発生します。逆に成長著しい企業や自己都合退職が多い企業などでは、社員が不足していたい、長年定着しないため高い等級・グレードの社員が不足するようなケースもあります。

 この分析は、人事制度や運用が経営と連動しているかを判断する極めて重要な分析です。この分析の結果、あまりにも適正と現状とのギャップが大きい企業では、人事制度を根本から見直さなければならないということになります。経営が求める人材の質と量を人事制度・運用で十分に供給できているか否かという、人事の存在理由が問われるくらいの重要な分析といるでしょう。

執筆

林 明文 (はやし あきふみ)

代表取締役 シニアパートナー
青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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