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column

「よくわからないけど面白そう」という気持ち

 小さな子どもを見ていると、彼らにとって遊びと学びは一体だと感じることがよくある。文字を練習していたはずがオリジナル文字を作っていたり、ゲームの解説動画をなめるように見ては新しい手法を学んでいたりする。新しいことを知り、それをおもちゃにして遊び、遊ぶためにまた新しい知識を学ぶ。「よくわからないけど面白そう」という気持ちが先行して、「これは何に使えるのかな?」という活用は後からついてくるようだ。

 結果として、使えると思った知識は(主にクイズやゲームなど)どんどん深堀る。驚くような速さで習得し、どんどん使えるようになっていく。一方で使われないまま放置される知識(主に学校の教科書に書かれているもの)も壮大に発生してしまうので、そこは大人の目で見てまずいとなり、どの家庭でもよくあるだろうバトルが発生することになる。

 このような子どもの学び・遊びは、研修事業で提供する大人のための学びとは大きく前提が違う。企業の人材育成においては会社の意図を踏まえて、研修提供側が学ぶ内容を選定する。何を学ぶかという理由は本人の側にはないので、企業の意図を「研修の目的」という形で研修開始時に本人に伝えることで後付けで内面化する必要がある。ここが多くの研修の難所になる。また、研修で学んだ知識の活用についても自主性に委ねているとなかなか継続しない。今では、知識の実践を働きかける長期的なフォローが研修設計の標準になっている。

 企業研修である以上、企業の意図した内容を効率的に学ぶためのカリキュラムを会社が決めるのは当然のことだ。会社の意図を理解してしっかり学び、実践していただければ研修としてはそれで大成功ともいえる。しかし、子どものころのような学ぶ・遊ぶ楽しさを思い出せたら、大人の学びもまた飛躍的に向上するのではないだろうか? 

 最近の研修では、体験型やアート鑑賞といったセッションが増えてきた。感性の開発や組織開発などさまざまな目的で設計されるが、これらのセッションを通じて、学ぶ・遊ぶ楽しさを思い出し、学び方のバージョンアップを図ることができると考えている。

 その時重要なのは「よくわからないけど面白そう」という気持ちだ。会社の事業やこれまでの人生の延長線上ではなく、であまり接したことのない世界に触れる。世界はまだまだ広く、自分の知らないことがたくさんあり、なんだかよくわからないが動いている。何が起きているのだろうか。自分にも何かできるのだろうか。そう感じるとき、自分も学び、新しいことを試してみたいという気持ちが高まる。それこそが、子どものころのような貪欲な遊び・学びのスタートになるのだ。

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