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column

会社に貢献できる偏人を評価できますか? ~スペシャリストを評価し育成することが必要~

 彼のバランス感覚は本当に素晴らしいね。彼女の技術知識はすごいけど、少し変わり者だから組織には向かないね。日本企業は、バランス感覚の秀でた人材を好み、ゼネラリストを創ることに重点を置き、評価してきました。ゼネラリストとは「広範囲にわたる知識を持つ人」のことを差し、ビジネスの場においては、総合職やプロデューサーなど、現場を広く見まわして、オールマイティに活躍できる人材です。ゼネラリストに最も向いている仕事といえるのが、部署の上層部やマネージャーといった管理職です。そのため、企業は挙って管理職になり得る人を育ててきましたが、バランスよく全てが秀でた人などなかなかいないはずで、バランスよく全てが平均的な人の集団になってしまいます。

 人事コンサルティング会社が提供するサービスの一つに「人材アセスメント」というサービスがあります。適性検査やシミュレーションを行うことで、本人の現在の業務以外の能力分野、いわば潜在している能力について客観的な診断をするサービスです。日本企業の特徴は、「金太郎飴」です。一人前の(バランス感覚のある)管理職を育てるために、定期的な人事異動で様々な部署を経験させ、網羅的な教育研修を受講させる。そして、長年の社風や社内文化の中で育ってしまった結果です。

 高度成長期、好調な米中経済に引っ張られてきた日本経済の中においては、バランス感覚に優れ、金太郎飴(調和に優れ)でも問題がなかったのかもしれません。しかし、技術革新、他業種からのコンペティターの出現、グローバルでの競争など、世の中の動き・変化が想像以上にスピードアップしている中では通用しなくなっていることを皆さんが気づいているはずです。その中で戦うためには、自社の強み・技術を駆使して新たな商品やサービスを創造し市場に投入できる、新たな武器を備えることが必至です。
そこで必要となるのが、自社における技術力や特殊技能力、特に個の力です。
彼の技術力は社内だけでなく業界においても右に出る者はいない、彼女の研究開発の経験と情熱は真似できない、彼の人脈・交渉術・営業力は他社には渡したくないなど、マネジメントは不向きでも会社に多大の貢献ができる人材は少なくないはずです。社内に埋まっている宝を見つけ、その人達を評価する仕組みを創り、会社へのエンゲージメントを高め、彼らの能力から会社の武器を生み出す。その第一歩として、“バランス感覚がなくてもいいでしょ”という考え方を社内に取り入れてもらいたいと思います。

 バランス感覚に秀でた人を評価してきた人事制度も一工夫、必要です。一つの箱に入ってもらい(単線型)、“皆さん管理職を目指してください”と、会社からメッセージしている企業から、マネジメントコースとスペシャリストコースの複線型に変更されている企業が多くなりましたが、スペシャリストコースの基準(定義・評価等)が明確でなく、報酬についてもマネジメントコースに比べると劣ることが少なくありません。基準は企業によって異なりますが、社員のモチベーションが上がり、会社貢献に繋がる人材を育むための基準を追求することです。人事管理に注力している企業においては、複線化から更に進化し、職種の基準を明確化にするため複々線化で運用する企業もあります。技術職だけでなく、営業職も立派な専門職です。営業職の箱(基本、ずっと営業職)を設けることが得策な企業もあると思います。

 最後になりますが、とは言っても、バランス感覚のある社員は一定数(管理職ポスト程度)必要であることを付け加えておきます。

以上

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