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環境認識に欠ける総合職はいらない

執筆者: 関根 愛 人事管理

 組織のメンバーであれば、環境は「組織の外」にあることを認識しなければならない。学術的に言えば、「組織」は意識的に活動を調整できる範囲であり、その外が「環境」である。これを会社に置き換えれば、組織=自社、環境=市場環境である。

 何を当たり前のことを、と思われるかもしれない。しかし、「ありがちな会社員」の発言や行動を思い起こしてみると、彼は「自身の外から組織まで」を環境として認識しているように見えないだろうか。要は、彼にとって「環境」とは、組織内環境を指すのだ。市場環境に至っては、「どこか遠い世界の話」として抜け落ちてしまう。

 もしも貴社の社員が、「環境は会社の外にある」と認識していれば、安泰である。市場環境の変化という脅威を認識し、それに伴う組織変革の必要性を理解し、自己変革にも努めるだろう。反対に、社員が、「環境は組織の中にある」と信じていたとすれば、問題が大きい。市場環境の変化は「どこか遠い世界の話」であり、組織変革の必要性が理解できないどころか、その変化を恐れ、抵抗勢力となり得るからだ。

 実際に、とある会社で起きたことだ。成果主義を強めるべく、重たい属人手当を削減し、賞与として還元できるよう、人事制度を改定した。その説明の場で、ある社員から、今まで固定的にもらえていた手当が、業績悪化時に減らされる賞与になるのは、実質的な不利益変更だと批判が上がった。しかし、これを聞いた別の社員は、次のように反論した――固定費が変動費になるということは、売上が悪化しても利益を出せるということだから、他社との競争が厳しくなったとしても生き残りやすくなる。何よりみんなが頑張って業績が上向けば賞与が増えるのだから、それを目指した方が建設的だ、と.この二人に対して、事前に伝えている情報は同じだったにも拘わらず、ここまで発言が異なるのは、「市場環境を認識していたかどうか」の違いだろう。

 多くの社員が、今置かれている市場環境を理解しないまま、組織の変革を反対したとしたら、やはり経営者は説得のために時間を掛けざるを得ない。そうしている間に、会社は市場競争力を失い、存続すら危ぶまれるようになる。

 組織は価値を創造し続けなければ存続できない。しかし価値とは相対的なものであり、市場の変化によって簡単に目減りする。価値を創り続けられる組織であるために、時折の組織変革は宿命である。変革を迅速に実行するためにも、組織の中核人材については、市場環境を認識できるメンバーで構成したい。
つまり会社であれば、最低でも総合職系の社員は、そうあるべきだ。その前提のもとに、採用・教育・評価・処遇のプロセスを構築しなければならない。

 締め括りに、先の事例の続きを述べよう。当初批判をした社員は、同僚からの反論を聞いて、ハッとした表情をし、新人事制度に理解を示し始めたのだ。経営者でも上司でもない、同僚の意見だからこそ、思うところがあったのかもしれない。
気付きを与えれば、社員は認識の範囲を広げられる。自社の社員(特に総合職系)の環境認識に思うところがある場合、まずは市場環境を認識できている社員の意見を集めてみたらいかがだろうか。

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プロフィール

関根 愛 (せきね あい)

シニアアナリスト

大学卒業後、ウェブ広告代理店で営業職として、ウェブ広告の新規開拓営業に従事。不動産・人材サービス・教育サービス業界を中心に、メディア広告・リスティング広告・ウェブ制作の提案を行う。
その後、大学受験予備校の事務職として、労務管理業務に従事。採用後から退職までの、社員・パートタイマーの勤怠管理全般に携わった後、当社に入社。コンサルティング部門でアナリストとして、組織・人事コンサルティング業務に従事。

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