合理的・構造的アプローチで企業人事を進化させる
コンサルティングファーム

コラムを読んだら投票を! コラムの最後にフィードバック欄がございます。ぜひご協力ください。

“期待の新人”をどう見極めるか?

執筆者: 井上 祐陽 雇用

 プロ野球において、選手のスカウティングのあり方が変化していると耳にする。それは、スカウトが獲得候補選手との面接を行うようになっている、というものだ。これまでのスカウティングでは、スカウトが選手の試合での動きを確認し、「面白い」と感じる選手がいれば練習にも足を運び、獲得の可否を判断する、という流れが慣習的であった。最近ではさらに、最終的な確認作業として選手との面接を行うというのだ。

 実際のプレーと面接では、それぞれ何を見ているのか。前者では、プロとして不可欠な身体能力や技術を備えているかどうかだ。足が速い、捕ってから投げるまでが早い、といった点だ。一般的な社会人に置き換えると、「業務遂行能力」の有無といえるだろう。一方で、後者では、壁にぶつかったときに乗り越えられるか、自分のぶれない軸をもち一貫して取り組み続けられるか、といった点を確認しているという。すなわち、プロとしての「資質」の有無を見ているのだ。

 一般企業においては、面接は非常に重視されている。内定までに複数回、異なる面接官による面接が行われ、その過程において自主性の高さや高い目標に取り組めるかといった、各企業が求める「資質」面の確認が行われる。一方で、実務者としての「業務遂行能力」が採用段階で確認されることはあまりないように思う。通常、「業務遂行能力」は入社後に育成される側面が強く、採用時点では問わないことが多いからだろう。学生は社会人としての経験を積んでいないため、当然と言えば当然だ。

 しかし、人材難が叫ばれる中、限られた母集団の中から優秀な人材を見極めることは、プロスポーツチームにおいても一般企業においても共通の課題である。そこで、少しでも採用の質を高めるべく、プロ野球のスカウトが「業務遂行能力」と「資質」の両面を確認するように、一般企業においても、面接での「資質」の確認に加え、“試合”における「業務遂行能力」を見る工夫ができないものだろうか。

 近年広まりつつある取り組みとして、学生向けのセンター方式のアセスメントが挙げられる。対象者には、例えばインバスケット演習などの演習に取り組んでもらう。その演習は、実施企業の実務や募集職種に合わせ、なるべくリアルな状況設定とする。学生は業務という“試合”に臨み、どのように振る舞うかが見られるのだ。まさに、ごまかしの利かない真剣勝負が求められるのである。そこで得られる情報は、学生の実務者としての「業務遂行能力」であり、面接での「資質」面の情報と合わせて、より的確な採用判断に用いることができる。また、その情報は入社後の配属や育成に活用することも可能だろう。

 学生にとっても大きなメリットがある。実施後に学生向けのレポートを作成し、個別にフィードバックを行う。学生にとっては、なかなか知ることのできない自分の“社会人としての”特徴や強みを知ることができる。学生は「自分のことをよく見てくれている」と感じ、好印象にもつながる。実際、インターンシップ生向けにアセスメントを実施した会社では、学生に対するフィードバックは非常に好評であったそうだ。

 学生を“試合”に投入し、つぶさに観察することで、“期待の新人”を見極めるというこの方法は、企業にとっても学生にとっても大きなメリットがあり、今後採り入れる企業の数はますます増えるだろう。

コラムを読んだら投票を!

コラムをお読みいただきありがとうございます。 今後、さらに興味深いコラムの提供やセミナーテーマの参考とさせていただきますので、ご感想の選択をお願い致します。
※投票いただくと、これまでの感想をグラフで見ることができます。

このコラムの評価

投票いただくとこのコラムの評価が表示されます。

このコラムの平均評価

このコラムの平均評価

このコラムの平均評価

ご投票ありがとうございました。他のコラムも是非ご覧ください。

このコラムの感想

  • 大変つまらない:
  • つまらない:
  • ふつう:
  • 興味深い:
  • 大変興味深い:

プロフィール

井上 祐陽 (いのうえ ゆうひ)

アナリスト

大学院修了後、シンガポールの総合教育サービス企業において、海外子女専門進学塾の講師として、日本人子女(小学4年生~高校3年生)の英語科の科目指導、進路指導、教育セミナーのプレゼンター等を担当。その後、当社に入社。コンサルティング部門のアナリストとして、主に教育研修の企画・実施、人材アセスメント業務に従事。

執筆者のコラム一覧はこちら

TOPICS