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アンガーマネジメント

執筆者: 関根 愛 その他

 実家に帰省すると、甥っ子2人が元気に喧嘩している場面をよく見かける。その様子を見て、気づいたことがある。それは「自分が被害者だ」と本人が思っているときは、より大声で、相手の落ち度と自分の正当性を主張することだ。「相手がおもちゃを貸してくれない」「YouTubeの停止アイコンを勝手に押された」など、例をあげれば枚挙に暇がない。だからと言って喚いたり叩き返したりするのは褒められた行動ではなく、大人たちは「喧嘩両成敗」という理不尽な対応を取らざるを得なくなる。
 しかし、ここに「怒り」の本質を見るのだ。人は怒りを感じ、我慢できないとき、「自分は被害者で、相手が加害者だ」と思っているものだ。それは子どもも大人も変わらない。

 大人たちの怒りの例を挙げてみよう。例えば「効率的に仕事して定時で帰ると、仕事していないように思われる」と憤る友人もいれば、「部下が使えなさすぎる」と憤る友人もいる。いずれも、このご時世において効率性を評価しない会社や、期待通りのパフォーマンスを発揮しない部下に対して、「自分は被害者だ」という認識があるのだろう。それが事実かどうかはこの際どうでも良く、むしろ着目したいのは、「その怒りをどうコントロールするか」だ。

 怒りをコントロールできることは、周囲のパフォーマンスを向上させるとともに、ハラスメントに対する監視が厳しい現代において自身を守ることに繋がる。また、美容の観点で言えば、怒りっぽい人は顔に嫌な皺ができ、老けるのが早い。怒らなくて済むなら怒らないほうがいい。
 では、怒りを鎮める究極の方法は何か。被害者意識の反対の意識を持つことだ。つまり、今、目の前で起きている事象に対して、「自身の力が及ぶ範囲の出来事ではなく、自分には成す術がなかった、自分は被害者だ」という被害者意識ではなく、「こうなる前に自身でできたことがあったのではないか、自身もまた当事者なのではないか」という当事者意識をもって問いかけることだ。例えば先の例でいうと、「定時で帰宅する前に、周囲の状況を見て、協力して全体の効率化を進められるのではないか」「部下が動きやすいような環境つくりや指示の方法を模索できないか」という意識だろう。こう書くと、とても生産的な発想である。

 しかし、時には怒りを発露させる必要もある。例えば、真に相手の心の入れ替えを要するときだ。このままでは顧客が期待する価値を提供できず、会社にも損失を与え、相手のキャリア形成上にも悪影響がある、というようなときは、怒りを発露することがむしろ誠実さであろう。ただ怒りを抑圧するのではなく、発露すべきタイミングを見極めることもまた、アンガーマネジメントなのだと思う。

 ちなみに冒頭の例である、甥っ子たちの喧嘩を前にすると、私は微笑ましさと煩わしさを同時に感じ、兄夫婦にその場を任せて退散する。兄夫婦が「こら!」と怒鳴る声を聴くたびに、子ども達への深い愛情を感じるのだ。子ども達に対して「躾」という名のアンガーマネジメントを行う、全ての大人達に対して敬意を払いつつ、私は子ども達がいない静かな部屋で本稿を仕上げるのである。

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プロフィール

関根 愛 (せきね あい)

シニアアナリスト

大学卒業後、ウェブ広告代理店で営業職として、ウェブ広告の新規開拓営業に従事。不動産・人材サービス・教育サービス業界を中心に、メディア広告・リスティング広告・ウェブ制作の提案を行う。
その後、大学受験予備校の事務職として、労務管理業務に従事。採用後から退職までの、社員・パートタイマーの勤怠管理全般に携わった後、当社に入社。コンサルティング部門でアナリストとして、組織・人事コンサルティング業務に従事。

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