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夢を語るという責任

執筆者: 関根 愛 その他

「将来就きたい仕事」に関するアンケート調査(アデコ株式会社、2018年12月実施)というものがある。小中学生を対象に行うインターネット調査なのだが、SNSやブログ界隈での注目度が高く、この結果を受けて「今どきの小中学生は~~だ」と論じられるのも、もはや風物詩である。
今回の結果によると、小中学生の1位は、男子が「野球選手」、女子が「先生」という結果である。一方、我々が属する「会社員」については、小中学生の男子で8位、女子で6位だった。子ども達に憧れられているのだと思うと、誇らしい気持ちにならないだろうか。

しかし、会社員がランクインすると、「今どきの子どもは夢がない」という意見が一定数出てくる。世の大人達は、子どもの将来の夢として、仕事内容が想像しやすいプロフェッショナル職が挙がることを期待している。
彼らの言い分で理解できる点は、「自分が何をしたい、という気持ちが足りない」という指摘だ。なるほど、「会社員」では、まるで生活安定さえすれば仕事は何でも構わない、という冷めた小中学生像を想像させなくもない。だが、この指摘について、2つの反論をしたい。

1点目はアンケート方式への指摘だ。実はこのアンケート、選択式回答である。つまり「会社員」として数多の職種が括られている。よって、子ども側に「このような仕事をしたい、そのためにはこういう会社に所属したい」という具体的希望があったとしても、「会社員」としか回答できないのだ。
例えば、ある小学生の話であるが、彼は会社員になりたいと願っていた。多くの部下を抱えて指揮指導し、自身の仕事を通じて市場に影響を与え、豊かな生活を送りたいと願っていた。
ここまで明確な将来像を持っている子どもが、果たして本当に会社員に夢を見ていないのだろうか。もちろん、このような子どもは少数派だとは思うが。

2点目――むしろこちらの方が深刻だが――子ども達に対するキャリア教育の貧弱さへの指摘だ。この問題の本質は、「会社員」の働き方について、キャリア教育がなされておらず、多くの子ども達がよくわかっていないことだ。しかし、両親を始めとした周囲の大人たちは会社で働いている。どうやら世の中の多くの大人たちは、会社に所属しているようだが、その会社でどのように働いているのかはよくわからない、だけど収入は安定しているらしい、といった具合に、漠然と「自分もこういう大人になるのだろう」という将来像を抱く。

自分の子どもに、会社員としての夢や醍醐味を語る親達は、世の中に一体どれだけいるだろう。また、将来について考え始める年頃の子ども達に対して、会社員の実像を生き生きと語ることができる教育関係者は、一体どれだけいるだろう。
大人達がこの調子だから、子ども達も消極的選択として「会社員」を挙げるのではないか。その姿勢の子どもたちが、就活を始める年齢となり、新入社員として迎え入れられた後、現場の先輩社員や上司の負担として跳ね返ってくることが想像に容易い。

確かに、会社員の仕事は、一人ひとりがどのような仕事をしているのか、外からわかりにくいものだ。その反面、過酷な通勤や、人間関係の軋轢、生産性の低さなど、労働環境の欠点はクローズアップされやすい。子ども達が会社員に夢を見ず、消極的選択をするのも頷ける。
だが、子ども達にとって夢のない仕事に未来はない。将来的に、能力・意欲ともに兼ね備えた若い人材による労働市場が形成されなくなるからだ。その仕事に関わる者として、将来の優良な労働市場を形成するためにも、会社員こそ、自分の仕事の夢を語る責任がある。

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プロフィール

関根 愛 (せきね あい)

コンサルティング部門 シニアアナリスト

大学卒業後、ウェブ広告代理店で営業職として、ウェブ広告の新規開拓営業に従事。不動産・人材サービス・教育サービス業界を中心に、メディア広告・リスティング広告・ウェブ制作の提案を行う。
その後、大学受験予備校の事務職として、労務管理業務に従事。採用後から退職までの、社員・パートタイマーの勤怠管理全般に携わった後、当社に入社。コンサルティング部門でアナリストとして、組織・人事コンサルティング業務に従事。

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