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「あこがれの人」になる

執筆者: 飯島 宗裕 人材育成

 通勤途中の出来事である。
小学1年生くらいだろうか、まだ新しいランドセルを背負った女の子が横断歩道にある赤信号の前で青になるのを待っていた。私もその後ろに並んでいたのだが、その横から20代くらいの若い女性がまだ赤信号にも関わらず、その横断歩道を渡ったのである。
「車が来そうにないから大丈夫」
若い女性はそう思ったのだろう。確かに、車が来る気配はなかった。
しかし、その光景を見て、小学生の女の子はどう感じただろうか。その行動は「ルールを破っても構わない」という危険なメッセージを女の子に与えてしまったかもしれない。

 このようなケースは会社でも起こっている。先輩・上司の仕事ぶりや背中を見て新人は育つ。先輩や上司がイキイキ働いていれば、その意識は新人にも伝わる。「うちの若手はモチベーションが低くて」「新人がすぐに辞めてしまうんだよ」という話を耳にするが、その原因をよくよく考えると、先輩や上司が「うちの会社は・・・」という愚痴を言っている、仕事に対して前向きに取り組んでいない、というケースが少なくない。先の例の若い女性のように、知らないうちに先輩や上司が危険なメッセージを新人に送っているのかもしれない。それが新人のモチベーションを低下させ、離職につながることも大いに考えられるのだ。

 もう一つよく見るケースをお伝えしたい。多くの会社で新人研修が導入されており、その中で「挨拶のやり方」としてお辞儀の角度や語先後礼を学ぶことがある。しかし、いくら研修でしっかりと学んでいても、配属先で先輩や上司が挨拶をしていなかったらどうなるだろうか。おそらく数か月後には「挨拶ができない新人」になることは想像に難しくない。
 
 山本五十六氏の有名な言葉として、「やって見せ 言って聞かせて させてみて 褒めたやらねば人は動かじ」という言葉がある。ここで最初に出てくる「やってみせ」とは、先輩や上司が背中を見せるということであり、その重要性を説いている。その後にやり方を説明し、実際にやらせてみて、評価をすることで人は育つのだという。

 もしも、先輩や上司が新人に見られているという意識を持って行動し、「背中を見せる」ことができ、このような先輩・上司になりたいという「あこがれ」を与えることができれば、新人の育成につながっていくのではないだろうか。

 余談だが、兵庫県に「龍力(たつりき)」という銘酒を造っている本田商店という会社がある。そこの会長だった本田武義氏は私にとっての「あこがれの人」であったが、昨年夏に逝去された。日本酒に対する愛情にあふれていたその笑顔は、私を含め多くの人を幸せにし、そして、その姿は今でも私に大きな成長を与えている。感謝。

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プロフィール

飯島 宗裕 (いいじま むねひろ)

マネージャー

独立行政法人にて中小企業者向けの研修の企画・運営業務に従事。後継者育成研修、ファシリテーション、論理的思考などビジネススキルの研修を担う。その後、飲食コンサルティング会社において出店支援等に従事し、コンサルタント育成の責任者として教育室長に就任。その後、研修設計の研究と啓蒙を行う一般社団法人を設立し、初代代表理事に就任した後、現職。

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