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評価制度は万能か

執筆者: 関根 愛 人事管理

「評価者が甘い評価をつけたがるので、評価が上振れしている」「処遇に差がつかない」といった人事担当者の声をよく聞く。高いパフォーマンスを発揮する社員に対して、充分に報いていないという実感を通じて、「だから、処遇にメリハリをつけられる評価制度にしたい」という要望に至る心情はよくわかる。

ただし、この要望をひも解いていくと、評価制度に対して、ある種の過剰な期待を持たれていることに気づく。それは、「(評価者の評価スキルが低いことを前提に)処遇にメリハリをつけられる評価制度にしたい」というものだ。評価者が一様に甘い評価をつけてきたとしても、評価ロジックや処遇への反映ロジックを通じて、処遇のメリハリを実現したい、と言う。

しかし残念ながら、評価制度は、「不適切な評価がつけられたとしても、制度の強制力をもってメリハリをつけ、処遇に反映する」ような万能機構ではない。「適切な評価を行えば、処遇へ適切に反映する」仕組みだ。

例えば、腐敗した食材を、最新の加工機械に通せば、安心・安全な食品が出てくるだろうか? いや、あり得ない。絶対に口にしたくない。
では、不適切な評価を、最新の評価制度のロジックで算出すれば、適切な最終評語および処遇への反映がなされるだろうか? それもまた同様にあり得ない。そして、そのようにして決定された評価と処遇は、人件費配分の面から言っても、人材育成の面から言っても、有害である。

先ほどの食品加工の例をもう一度使用するならば、そもそも腐敗した食材を混入させない、混入したとしても検品して取り除くよう、仕組み化するはずだ。それと同様で、評価者が適切な評価をつけるための施策や、不適切な評価を是正する仕組みを導入することが、冒頭の要望に対する本質的な解決方法だ。具体的には、毎年の評価者研修や評価会議といった、評価運用施策が有効である。ただし、いずれも、人事と評価者双方が担う負荷は高い。

しかし、評価の運用を妥協しないことで、評価品質が向上し、人件費配分や、人材の配置・育成の健全化がなされる。

人事制度全体に言えることだが、運用レベルの低さもリカバリーできるような、万能な設計はあり得ない。合理的な制度設計を基に、確実に運用されることで、当初の人事課題が根本的に解決される。評価制度はそれを特に実感しやすい領域であろう。

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プロフィール

関根 愛 (せきね あい)

コンサルティング部門 シニアアナリスト

大学卒業後、ウェブ広告代理店で営業職として、ウェブ広告の新規開拓営業に従事。不動産・人材サービス・教育サービス業界を中心に、メディア広告・リスティング広告・ウェブ制作の提案を行う。
その後、大学受験予備校の事務職として、労務管理業務に従事。採用後から退職までの、社員・パートタイマーの勤怠管理全般に携わった後、当社に入社。コンサルティング部門でアナリストとして、組織・人事コンサルティング業務に従事。

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