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コンサルティングファーム

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「なぜ」が言えない日本人。

執筆者: 飯島 宗裕 人材育成

以前に私が飲食コンサルティング会社に勤めていた時のこと。その会社は、赤字の飲食店にコンサルタントが店長として派遣され、店舗のオペレーションとマネジメントを行いながら黒字化していくというスタイルであった。そして、私が最初に派遣された現場は都内の居酒屋であり、中小企業診断士として日本酒のマーケティングを研究していた私にとって、最高の腕試しの場であった。(好きな日本酒を店長権限で仕入れられたというメリットも)
その店の損益分岐売上高(黒字になる売上高)は月600万円であったが、実際の売り上げは300万円に届いておらず、毎月300万円以上の赤字を出していた。とにかく売り上げを伸ばしたい。その思いで私がとった行動は販売促進、つまりチラシをまいたのである。
その結果、一時的に売り上げは伸びたものの、すぐに下落し、店舗閉鎖寸前まで追い込まれてしまった。この経験はコンサルタントとしてのプライドが壊された、苦いものだった。
なぜ、こうなってしまったのか。それは「なぜ」を考えなかったからである。
「なぜ売り上げが低いのか」という原因を考えずに「チラシをまく」という行動に出るのは危険である。もし、「その店の認知度が低い」というのであれば、チラシをまくという方法は効果的であっただろう。しかし、実際には違う理由でその店舗の売り上げは低かったのだ。
売り上げが低い原因は「客数が少ない」か「客単価が低い」の2つに分解できる。「客数が少ない」場合は、「新規客が少ないのか」「リピーターが少ない」に分解できる。こうやって分解していくと、原因が見えてくるのだ。私はそのプロセスを省略し、解決策を考えてしまったのである。別な言い方をすれば、「お腹が痛い」と病院にやってきた患者に向けて検査もせずに「この薬を飲みなさい」と言っているようなものである。「なぜこの患者はお腹が痛いのだろう」と考え、検査を行い、原因を特定し適切な処置をとることが当たりまえ。しかし、私を含め、多くの日本人はこの「なぜ」を言わないのだ。
「今度の夏までに3キロ痩せたい」「ならば、この運動をしなさい」
「英語をしゃべれるようになりたい」「ならば、この教材を使いなさい」
しかし、「なぜ痩せないのか」「なぜ英語が話せないのか」。
これらの原因を考えなければ、効果的な解決策は導き出すことはできない。
人材育成の世界も同じことが起きている。「若手の離職率が高いから、若手向けのモチベーション向上研修を行いたい」「残業を減らしたいのでタイムマネジメント研修を行いたい」
という話を耳にする。しかし、若手の離職がなぜ多いのか、残業がなぜ多いのか、をしっかりと突き止めなければ、その研修は殆ど効果がないであろう。
解決策を急がず、「なぜ」という考えを持つこと。そして、口に出すこと。
そうすれば、問題解決の技術は格段に上がるのだ。
余談だが、日本酒の世界も常に「なぜ」を考え続けている。それは、同じように造っても同じ味の酒にならないからである。そして、時代にあわせて日本酒は変化している。岩手県にある喜久盛酒造の「タクシードライバー」はまさに日本酒の変化を感じさせる酒である。その個性的な味を一度は試していただきたい、きき酒師おススメの1本だ。

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プロフィール

飯島 宗裕 (いいじま むねひろ)

マネージャー

独立行政法人にて中小企業者向けの研修の企画・運営業務に従事。後継者育成研修、ファシリテーション、論理的思考などビジネススキルの研修を担う。その後、飲食コンサルティング会社において出店支援等に従事し、コンサルタント育成の責任者として教育室長に就任。その後、研修設計の研究と啓蒙を行う一般社団法人を設立し、初代代表理事に就任した後、現職。

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