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センスのリトレーニング

執筆者: 関根 愛 人材育成

「休職からの復帰後、デザインセンスが衰えている人と衰えていない人に分かれる」--この話をしてくれたのは、馴染みのネイリストだ。ネイルアートを施術してもらっている間、「コラムのネタになるような話はないか」と尋ねたら、快く良質なエピソードを提供してくれた。早速、本稿にしたためたいと思う。

彼女が言うには、このような事例があったそうだ。
ある先輩ネイリストが育休から復帰したが、センスが衰えてしまっていて、他のネイリストから「デザインが古い」と陰で酷評されたり、お客様からも芳しくない反応をされたりしていた。しかし、周囲がそれとなくフォローを入れ続けたおかげか、だいぶ時間はかかったものの、そのネイリストのセンスは徐々に取り戻された。
一方、育休後も全くセンスが衰えておらず、すぐに戦力として復帰できたネイリストもいたという。
「その2人の違いは何なのですか?」と尋ねると、「インスタグラムなどで情報をキャッチし続けていたかどうかですね」とお答えいただいた。「育児は大変忙しいものだから、無理をする必要はない」という前置きのもと、「それでもネイルのトレンドを日頃からキャッチアップしている人は、休職中でもセンスが衰えなかった」という。

この事例は、社員のセンスが付加価値を生むビジネスモデルを採用する企業全てに適用できる話だ。

そもそもセンスという言葉が曖昧だが、ここでの「センス」を定義するならば、「トレンドを捉え、成果物に活かして創造する能力」と言ったところだろうか。トレンドが捉えられなくなれば「センスが古い」、成果物に活かせなければ「センスがない」ということになる。

休職により顧客接点がなくなれば、トレンドへの感度の鈍化、創造性の低下は、想像に容易い。センスが衰えて当然の状況であり、維持し続けるには相当な努力を要する。そして、その「相当な努力」を、休職を必要とする社員全員に求めるのは、あまりに酷な話である。
だからと言って、社員のセンスの劣化を放置するのはリスクでもある。本来なら高いパフォーマンスを期待できる人材が、長期にわたってパフォーマンスを低下させたり、離職を選択したりする恐れがある。特にダイバーシティが進む現代では、女性社員や高齢層の比率も高くなる。育休・介休は常に発生するし、増加する一方だ。復帰後の社員の、長期的なパフォーマンス低下や離職を許容する余裕は無いはずだ。

では、社員に対して、いかに短期間で元のセンスを取り戻させるか。取るべき施策は明確だ。センスを取り戻すための期間と機会を設ければ良い。短期集中で効果を上げるなら、研修として実施するのが望ましい。特に女性比率が高い会社なら、トレンド研究やリトレーニングといった、育休復帰後の研修メニューを教育制度に組み込んでも良いくらいだ。

社員のセンスが付加価値を生むビジネスモデルであれば、人事制度もセンスに依拠していることが合理的だ。ただし、このセンスというものが、一時的な離職で失われやすい性質を持つ以上、そのフォローアップも仕組み化しておきたい。そうすることで、実力主義でありながらも、社員のパフォーマンス発揮の長期化を図ることができるだろう。

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プロフィール

関根 愛 (せきね あい)

コンサルティング部門 シニアアナリスト

大学卒業後、ウェブ広告代理店で営業職として、ウェブ広告の新規開拓営業に従事。不動産・人材サービス・教育サービス業界を中心に、メディア広告・リスティング広告・ウェブ制作の提案を行う。
その後、大学受験予備校の事務職として、労務管理業務に従事。採用後から退職までの、社員・パートタイマーの勤怠管理全般に携わった後、当社に入社。コンサルティング部門でアナリストとして、組織・人事コンサルティング業務に従事。

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