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酒の肴から考える人材育成

執筆者: 関根 愛 人材育成

社会人経験年数を積めば、昔からの友人の中にも、勤務先でOJTを担うようなポジションに就く者が現れる。すると、居酒屋での酒の肴として、このような話題が上るようになるものだ――「成長する人は、評価項目で測れないところに違いがある」と。深く掘り下げていくと、更にこのような意見が出る。「身綺麗にしている人は成長が早く、その逆もまた然り」「何かにつけて他責する人は成長しない」「こうしたら相手に迷惑がかかる、という想像ができない人がいる」など。

身も蓋もなく言ってしまえば、友人達と居酒屋で飲んでいたら、OJT中の部下や後輩にまつわる愚痴を聞かされた、という話だ。しかし評価項目と社員の育成について再考する上で、重要な示唆に富む『貴重な意見』でもあった。

冒頭の意見を要約すると、学力や知力とは別に、「人として当たり前」の心がけ・態度・基礎力(これらをまとめて成長要因とする)が不足していて、順調な成長ができていない社員がいる。そして成長要因は、評価項目中に定義されていない、ということだ。

では、なぜ、評価項目と成長要因は異なるのか。評価項目は、「企業価値を高める上で必要な、職務遂行上の共通要素」を定義するものである。つまり、職務起点で作られるものだ。人間起点で、成長要因を定義したものではない。よって、異なって当然なのだ。

ただし、それで話を終えてしまっては、部下は戸惑うばかりである。「どうしたら成長して、高評価を得られるのか」という部下からの問いに答えるためには、評価項目ごとの出来・不出来だけではなく、その背景にある成長要因(もしくはその阻害の要因)を伝える必要がある。

しかしここで新たな問題がある。もしも、冒頭の『貴重な意見』が全て成長要因として正しかったとして、部下に「身綺麗にしなさい」などと言えるだろうか? 即刻セクハラとして訴えられるのがオチだ。

そこで概念化である。「身綺麗であること」「相手が円滑に仕事できるように自分の仕事をすること」は、「相手の知識レベルや認知、感情・思考、行動を想像して配慮すること」として共通している。相手のことを想像できない社員には、まず「相手の配慮を感じた出来事」を思い起こさせ、それを行動モデルとするように指導した方が良い。また、「何かにつけて他責する」という傾向についてだが、そもそも成長とは自己批判から始まるものなので、成長意欲を持たせることから始めなければならない。

このように、成長要因を概念化し、OJTや評価フィードバックで活用すれば、高い育成効果を期待できる。そして、自身の経験だけでなく、社内のライン長、外部コンサルタントを交えて議論し、評価項目と成長要因の対応関係の体系化や、評価項目達成に至る成長プロセスを概念化、それを誰でも索引できるように可視化すれば、制度が想定する「求める人材像」を輩出する上で、強力な補助ツールとなるだろう。

ただ懸念するのは、部下の成長要因を洗い出す会議の中で、参加者の口からうっかり愚痴がこぼれて、そのまま周囲も愚痴に花が咲いてしまう…と、まるで、居酒屋のワンシーンのようになってしまいかねない、その一点である。

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プロフィール

関根 愛 (せきね あい)

シニアアナリスト

大学卒業後、ウェブ広告代理店で営業職として、ウェブ広告の新規開拓営業に従事。不動産・人材サービス・教育サービス業界を中心に、メディア広告・リスティング広告・ウェブ制作の提案を行う。
その後、大学受験予備校の事務職として、労務管理業務に従事。採用後から退職までの、社員・パートタイマーの勤怠管理全般に携わった後、当社に入社。コンサルティング部門でアナリストとして、組織・人事コンサルティング業務に従事。

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