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column

「モンスター社員」の増殖

最近、「モンスター社員」と言う言葉をよく耳にする。厳密言うと「モンスター社員」にも色んなタイプがあるようだが、一般に、処遇や福利厚生に対し過度な要求をしたり、会社の制度やルールに対して否定的・非協力的な主張をして、自身の要望が受け入れられないと、「労基署に行く」等と言って人事を脅したり、実際にそうする「やっかいな社員」の事を指すようだ。

入社時点に想定していた内容と異なる業務を求められると、話が違うと、拒否したり、上司や人事から気に入らない注意を受けると翌日から無断で休む、さらには、インターネットのSNSや掲示板上に、そうした状況を誇張・曲解した上で、会社や上司・同僚を誹謗中傷する投稿をする等・・。こうした「モンスター社員」は、従来の「やる気のない社員」や「さぼり社員」とは異なり、よりたちが悪いと言える。会社にとっては深刻な存在で、対応を間違えれば、一人のモンスター社員が、会社全体の価値を下げてしまうリスクさえあるかも知れない。

モンスター社員が「増殖」している背景には、採用難が続く中で、会社の採用基準が甘くなりがちな事や、働き方改革が進む中で、残業時間の抑制や休暇の取得など、労働者の権利をきちんと確保していこうとする社会的要請が高まる中、「会社」より「社員」の権利をより尊重する空気が我が国の社会全体に漂っていることも影響しているだろう。

また、SNS上に発信されたコメントにひとたび火が付くと、その内容の正否を確認される間もなく、それが世界中に瞬時に拡散してしまうというネット社会特有の現象もまた、事態をより悩ましくしている。

最近、かつて目覚ましい企業再生を果たし、賞賛されてきた著名な企業経営者が、一たび、逮捕されると(まだ有罪と確定したわけではないのに、)手のひらを返したように、否定的なコメント一色になる我が国のマスコミや識者の論調に、正直、驚いているところだが、我が国のそうした「推定有罪的」国民性?もまた、会社が毅然としたアクションを取りにくくしていて、結果として、「モンスター社員」をのさばらせてしまっているようにも思う。

会社のいわゆるブラック企業的行動を排除させるために、「社員」の権利をより尊重する方向で、「会社」と「社員」の関係をリバランスする取り組みはよいのだが、それが行き過ぎて、社員の権利を守ることに囚われすぎてしまうと、会社の中に、多数のモンスター社員の増殖を許してしまうような事にならないか。ルールに基づく「モンスター社員」への毅然とした対応と共に、社会全体としての「会社」と「社員」のパワーバランスが適切かどうかを検証していく姿勢が、我々、ひとりひとりに求められている。

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