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新卒社員のコミュニケーション能力

執筆者: 関根 愛 人材育成

 新卒入社したばかりの部下3人が、コピー機の前で群がっていた。それを見た上司が「どうしたのか」と尋ねると、「コピー機の使い方がわからない」と返ってきた。そこで上司はコピー機の使い方を教えた。
すると、部下の一人は「ありがとうございました」とお礼を言った。
もう一人は「では、こういう場合はこうすれば良いんですね?」と応用を述べた。
最後の一人は「僕、コピー機の使い方、教わってないですし」と新人研修の不備を訴えた。

 その後、お礼を言った新人は「言われたことはしっかりこなせる社員」となった。応用を述べた新人は一番の成長株となった。最後の一人はどれだけ手厚く教育しても全く成長せず、現在も手を余している。

 以上の話は、他社に勤める友人――エピソード中の「上司」が彼女である――の実体験だ。弊社の出来事ではないことを、ここで述べておこう。

 新卒といえば、ニュース記事などでよく取り上げられる調査の一つに、経団連の「新卒採用に関するアンケート調査結果」がある。2017年度の結果を見ると、「選考にあたって特に重視した点」という設問に対して、「コミュニケーション能力」という回答数が最多である。
 この「コミュニケーション能力」というワードは厄介で、「傾聴力」、「説明能力」、はたまた「相手の発言の捉え方」、「他者に積極的に働きかける姿勢」など、多岐に渡る能力やマインドを包含する。

 さて、冒頭の3人の新卒社員を、「コミュニケーション能力」の観点から見てみよう。お礼を言った社員をA、応用を述べた社員をB、研修の不備を訴えた社員をCとする。
Aは、上司の説明を聞き、その行為は感謝すべきものと捉え、お礼を述べた。
Bは、上司の説明を聞き、説明されていないことについても瞬時に仮説を立て、その場で説明した。
Cは、上司の説明を聞き、研修でコピー機の使い方を教わっていないことを思い出し、コピー機の使い方がわからなかったのは会社の責任であると訴えた。

 Cについて、A・Bとの決定的な違いは、「不適切な捉え方」のように見える。コピー機の使い方を説明した上司は、使い方がわからなかったことを責め立てたのではない。しかしCは、その上司の説明に対して「自身に対する攻撃」と捉え、咄嗟に他責的な発言が出たのではないだろうか。Aが上司の説明に対して「感謝すべき指導」と捉えたのとは正反対である。
つまり、「相手の発言をどのように捉えるか」という差が、CとAの間にあり、「聞いた内容から、どこまで発展的に思考し、説明できるか」という差が、AとBの間にある。
 よって、新卒の採用活動においてコミュニケーション能力を判断するには、まず「相手の発言について、内容や意図を適切に捉えられるか」で篩にかけ、「聞いた内容をどこまで発展的に思考し、説明できるか」で点数をつければ良い、ということになる。

 恐らくだが、人が能力を発揮するには、まずは物事や状況に対して、歪みのない捉え方をすることが前提となるのだろう。この教訓を新卒社員に求めるだけでなく、自分自身も意識して仕事に取り組みたいものである。

 尚、冒頭のエピソードを話してくれた友人は最後に、「そもそも使い方がわからなかった時点で、わかる人に聞くべきなんだけどね」と苦笑していた。残念なことに、部下3人とも「他者に積極的に働きかける姿勢」という意味でのコミュニケーション能力に欠けていたようだ。

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プロフィール

関根 愛 (せきね あい)

シニアアナリスト

大学卒業後、ウェブ広告代理店で営業職として、ウェブ広告の新規開拓営業に従事。不動産・人材サービス・教育サービス業界を中心に、メディア広告・リスティング広告・ウェブ制作の提案を行う。
その後、大学受験予備校の事務職として、労務管理業務に従事。採用後から退職までの、社員・パートタイマーの勤怠管理全般に携わった後、当社に入社。コンサルティング部門でアナリストとして、組織・人事コンサルティング業務に従事。

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