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「そんなことに時間をかけて!」
執筆者: 河野 健士 人材育成
「そんなことに時間をかけて!」
部下を持つ身であれば、一度は口にしたことがある、あるいは言いたくなったことがある言葉だと思う。
上司の立場からは、部下がどうしてどうでもよさそうなことに時間をかけるのか、まったく理解できない。そんな無駄なこと、効果が小さいことに時間をかけるのなら、もっとやるべきことがある。
働き方改革の初期も、業務に携わる時間を削減し、残業量を減らしたり、ワーク・ライフ・バランスを整えたりするという議論が行われていた。無意味に時間を費やさずに、重要なことに時間を割くというのは社会的要請でもある。部下の時間の使い方に苦言を呈したくなるのは当然である。
しかし、本当に無駄ばかりなのだろうか。上司の立場からは無駄でも、部下の立場からは無駄ではないかもしれない。部下が時間を費やすのは、上司の部下に対する認識不足、換言すればマネジメント力の不足と考えられないだろうか。
私は、何も上司の管理方法を云々したいのではない。次のような状況を考えていただきたいのである。
意欲が旺盛な部下がいたとして、仕事にある程度習熟でき、さらなる能力発揮を望むときに何をするか。与えられる仕事の内容が質的に変化しないのならば、仕事の作業を精緻にしたり、自分なりの創意工夫を盛り込んだりして、さらなる能力発揮をはかるのではないだろうか。
つまり、上司が成長にみあった機会を付与していないため、部下が可能な範囲で自ら仕事に変化を起こそうとし、結果、時間を費やすのである。それが上司には無駄と映っても、部下には大事なことなのだ。
もちろん、部下の全員が前向きに時間を費やすわけではない。だが、部下の力を発揮させるのもマネジメントである。労働人口減少のなか、部下の能力を最大限に引き出せないのは機会損失である。能力発揮の機会損失は、時間の浪費以上に重大な組織的課題ではないだろうか。私たちは、本当に部下の能力を使い切っているだろうか。
末尾だが、最後までこのコラムを読んでくださった真摯な方々に感謝を申し上げたい。
「こんなコラムを読むのに時間をかけて!」
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プロフィール

河野 健士 (かわの たけし)
ディレクター
大手教育出版社グループで企画編集を務め、同時にワークフロー改編や組織変革にも関与した後、組織・人事コンサルタントに転身。中小企業から上場企業にいたる各種業界を対象に企業向け研修、アセスメント・センター、人材育成制度策定支援等に携わった後に現職。主として管理職・次世代幹部向け育成施策、アセスメント・センターに等に従事。