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経営の合目的性と合理性
執筆者: 関根 愛 経営
「君達コンサルタントはすぐに本質的解決をしたがるが、経営者はそんなものを求めていない。経営者のやり方を外部の立場から賛同してほしくて金を出すのだ。」
これは私の行き着けの焼き鳥屋で、他の客と酌み交わしていた時に、唐突に言われた言葉である。ある経営者の一つの本音として、真摯に受け止めて考えた結論を、本稿にまとめたいと思う。
私達は「合理的な人事」をサービスとして提供している。合理的とは、「ある目的に向かって、無駄なく効果を得られるスループットを構築する」ことだと、私は定義している。
人事におけるスループットとは、人事制度や教育研修といったあらゆる人事管理である。「自社の社員(インプット)に、いかにして高いパフォーマンスを発揮(アウトプット)させるか?」という問いに対する答えとも言える。
しかし、社員は人的資源であると同時に、人間である。人間とは不合理な生き物だ。
合理的に人事管理をしても、その組織に関わる全ての「人間」の不合理性により、想定していた効果が出ないこともあるだろう。前職の外部研修先で、机に突っ伏して寝ている参加者を見たことがあるが、「人間の不合理性によりスループットがうまく機能していない」典型例である。
ここに合理的であることの「壁」が立ちはだかる。そんな時、人は、「合目的性」を検討する。
合目的性とは、「アウトプットのためには、インプットやスループットの正当性を問わない姿勢」と、私は定義している。
経営者とは本質的に合目的的な存在だ。インプット、スループットに問題があっても、市場から追い出されないが、アウトプットに問題があればすぐに市場から追い出されるからだ。
「俺の意見に説得力を持たせるために外部のコンサルタントを使う」というのは、まさに「経営者の意思決定を遂行させる」上で合目的的なコンサルタントの使い方である。
これを合理的に見ると、「そもそもコンサルタントを使わないと社内を納得させられないなんて、経営者のリーダーシップに問題があるのでは?」なんて思ってしまうわけである。
しかしこれでは合目的性と合理性が平行線のまま、何の付加価値も生み出さない。
この平行線を解決するには、両者が「本当の目的」を共有しなければならない。我々コンサルタントの立場であれば「そこまで合理性を拒否する、何か他の真の目的があるのでは?」「その真の目的を話してもらうためにはどうしたらいい?」と思い至らなければならないのだろう。真の目的を共有できたときに、合理性は本来の力を発揮できる。
冒頭の経営者との会話のおかげで、コンサルタントとしてキャリアを築く上で、非常に多くの気付きをさせてもらった。彼には大変感謝している。しかし彼との酒を、「不味い酒だったなぁ」と思うのもまた、不合理な本音である。
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プロフィール

関根 愛 (せきね あい)
シニアアナリスト
大学卒業後、ウェブ広告代理店で営業職として、ウェブ広告の新規開拓営業に従事。不動産・人材サービス・教育サービス業界を中心に、メディア広告・リスティング広告・ウェブ制作の提案を行う。
その後、大学受験予備校の事務職として、労務管理業務に従事。採用後から退職までの、社員・パートタイマーの勤怠管理全般に携わった後、当社に入社。コンサルティング部門でアナリストとして、組織・人事コンサルティング業務に従事。