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コンサルティングファーム

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自分の取扱説明書

執筆者: 吉岡 宏敏 人材育成

雇用延長や役職定年を前にした人たちのモチベーション向上は難しい。権限と報酬を失うことによる意欲低下を凌駕するような動機付けがそう簡単にできるとは思えない。そうしたキャリア研修の御要請もあるけれども、限定的な効果でよければ、と但し書き付きで、やらせていただくようにしている。

かつての部下が上司となり、同じような仕事を大幅ダウンした報酬でやる限り、100%気持ちよく前向きに働け、ということに無理がある。使われる立場と割り切るから、少なくとも自分が気持ちよく働けるように使ってほしい。たとえば、そうした自分たちの使い方を提案するといった研修で、限定的な動機付けをしたりする。

以前、たいへんうまくいったけど、失敗した、という研修をやったことがある。役職定年直前の方々に対する2日間の研修で、自分たちで自分たちの貢献領域を考え会社に提案する、というものだった。まず、自分の知識やスキル、経験、人脈などを“リソース”として棚卸して、グループの中で各人のリソースをお互いに評価し、その使えるものをグループのリソースとする。

それを使ってグループで起業する計画を立て発表し、その出来栄えを競い合う、までが研修の前半。ゲームではあるが、大いに盛り上がりつつ発想が広がったところで、今度は、再度自分のリソースを検証して、自社の中でどんな貢献ができるかを企画し、会社への提案書を作成するという趣向である。真剣で熱のこもった、また、自身の経験を活かした貢献案がアウトプットされ、受講生の満足度も高いものとなった。

しかし失敗した、というのは、彼らの提案を会社として受け止めなかったからである。案を実際にやるかどうかの採否はともかく、会社として、一旦はきちんと検討するとすべきだったのに、研修の場限りのアウトプットという扱いだと、人事部事務局が研修の最後に宣言。とたん、一瞬にして、炎上。モチベーションは下がり、反発だけが残る結果になったのだった。

会社の対応スタンスさえはっきりさせておけば、「自分たちの新しい使いみちを、自分たちで考える」のは、効果的で元気の出る方策である。間違いなく、活発な議論になる。場合によっては、実際にシニア人材の職域開発につながることもある。あるいは、もっと単純に、自分たちをうまく使う方法を自分たちで整理させるだけでも十分、意義ある研修になる。

たとえば、自分は、こんな経験をしているから、この種の問題であれば応えられる。社内社外のこのことについて詳しい。この技術は教えられる。この部門には言うことをきかせられる。この点をほめると喜ぶ。ここに触れられるとキレる。。。といった自分の使い方を言語化しまとめるのである。

年下の上司や会社にとっては、扱いかたが一様でなく、難しいシニア人材であるからこそ、彼ら自身に「取扱説明書」をつくってもらえば間違いがない。本人の満足度も高く、会社としてアウトプットが現場で使える。限定的ながらも一石二鳥の研修として、推奨したい。

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プロフィール

吉岡 宏敏 (よしおか ひろとし)

シニアパートナー

東京教育大学理学部応用物理学科卒業。ベンチャー企業経営、ウィルソンラーニング・ワールドワイド株式会社コーポレイト・コミュニケーション事業部長等を経験後、株式会社ライトマネジメントジャパンに入社。人材フローマネジメントとキャリアマネジメントの観点から、日本企業の組織人材開発施策の企画・実行支援に数多く携わる。ライトマネジメントジャパン代表取締役社長を経て、現職。

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