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失敗のパターン
執筆者:林 明文

 最近大規模なリストラを行う企業が増加しています。当社ではリストラを行う企業に対して、組織、人事のコンサルティングを行っています。私どもの最近の関与事例の中でいくつか共通する失敗するリストラのパターンについて考えてみたいと思います。


 リストラは経営環境に合わせて新たな経営方針経営計画を立案し、現体制から短期間に転換することをいいます。今までの経営方針や計画と新しい方針計画のギャップが激しいほど、より大規模なリストラになるということです。新たな経営環境に適合する新たな体制を構築するという意味では、非常に明るい積極的な経営施策といえます。


 リストラ事例の中で失敗する典型的なパターンはいくつかあります。代表的なのは、リストラ=コスト削減という図式で行われるものです。新しい経営環境に対する分析やそのためのビジネスモデルの再構築などが不明確なまま、短期的損益改善のためにやみくもにコストの削減を行うというものです。短期的な損益改善のため削減できる費用を徹底して削減するというものです。


 人件費はどの企業でも大きな費用項目のうちの一つであるため、このような費用見直しの中で必ず俎上に上ります。短期的な改善を急ぐあまり社員の賞与を大幅に減額したり、支給しない計画を立てるところまであります。また過去の経緯や現在の社員の給与レベル、労働組合との関係などを考慮しないで給与や手当の大幅な減額を計画する例も多く見られます。ある製造業で業績が急激に低下したことに対応するために、人員の削減と次年度の賞与をゼロとした再生計画案を策定しました。このような常識的でない人事施策は、対金融機関に対して経営努力を最大限していることを示さなければならないという背景がありました。実際にこの計画は社内の主要な管理職に発表された段階で頓挫してしまいました。この計画があまりにも現実的でないことと、将来についてのビジョンがないことから、管理職社員の不安や不満を大きくしてしまい、再建のために団結することができなかったからです。まあ反対があまりに強烈だったということです。社員の給与は過去の数年間、給与のカットや昇給の停止、賞与の減額などを実施してきており、さらなる給与カットや賞与支給ゼロは現実的でないからです。


 多くの企業では人件費に構造的な問題を抱えています。平時の時には人件費の問題は優先順位の高い問題と認識されません。しかし業績が低下した時には人件費配分方法や支給レベルの問題は直ちに深刻化します。この問題はリストラ時に単に一時的に給与カットや賞与減額を行うということではなく、もともと人事制度が機能していないことも問題であるということです。会社の今後に大きく影響を与えるリストラであるからこそ、一時的なコストカットの視点でなく、企業の方針計画に連動し、その達成に資する人事の仕組みへ転換するスタンスが必要です。


 このようなリストラに対するスタンスは、このような文字ベースでは誰でも理解して当然だと思いますが、実際の経営者や企業の行動はそうでないことが多く見られます。“外圧型”リストラといい、自社の独自の判断でリストラを行うのではなく、金融機関や株主、親会社などからリストラを強要されて、致し方なく実施する企業が多く、環境変化に対応する主体性が感じられません。自社の成長のための戦略転換ですので、自社の責任で自社の判断で積極的に実行することが経営者や経営企画に携わる者の責任です。高齢で自分の個人の利益を守ろうとしリストラを積極的に行わず、よい頃合いで“逃げきり”を意識している経営者が少なからずいるように感じてしまいます。真の経営者育成、新たなワークスタイルやマインドの形成が急務ということです。



(2012年01月16日 林 明文

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