コラム

最新コラム

会社のダイエット
執筆者:安藤 浩平

だいぶ以前のことになりますが、メタボが目立つようになり、スポーツジムに通ってダイエットを試みたことがあります。ジムでエアロビクスをやっていた友人に誘われたのですが、初めのうちは「中年男がワン、ツーなんて足をあげてられるか」とマシンばかりしていたのです。しかし、一回やってみると、これが楽しく、2回、3回と参加しているうちに、恥ずかしさも消え、エアロビクスしかやらなくなってしまいました。そうして、半年くらい経ったでしょうか、ダイエット効果は上がり、スリムになっていったので喜んでいました。


そんなある日、ジムのトレーナーに「エアロビクスばかりやっているのはよくありません。筋トレもやってください。」と注意を受けてしまいました。どうやら、エアロビクスのような有酸素運動ばかりやっていると、脂肪も落ちますが、必要な筋肉も落ちてしまうそうです。脂肪と同時に筋肉まで落ちると健全な代謝ができなくなり、活力を失うことになってしまうそうです。筋トレを並行して行うことによって、必要な筋肉を保ちつつ、不必要な脂肪を落とすことがあるべきダイエットだと学んだ次第です。


会社にも同じことが言えます。業績が悪くなり、経費ばかり嵩むからといって、新卒採用をストップしたり、ただ、人を減らして人件費を下げると、経費は減っても、組織の高齢化は逆に進んでいたり、パフォーマンスの悪い社員が高い処遇のままいて、優秀な社員のモチベーションが上がらないまま会社を辞めていったりします。そうなると、組織は活力を失い、次のチャンスが来ても、迅速な対応がとれず、業績のV字回復は到底望めなくなってしまいます。


会社の建て直しは、基本的に、業績を上げるか経費を減らすかのどちらかですが、業績を上げるのは、筋肉を増やして大きくなることであり、経費を減らすのはダイエットをして体重を減らすことになります。先ほど書いたように、ダイエットはただ体重を減らせばいというものではないのです。業績の急激な落ち込みがあると、どうしても経費を下げることにばかり気がいってしまい、何でもかんでも人を減らせばいいとなりがちです。そういう時こそ、適切な、健康診断をして、必要な栄養素の摂取と、筋肉となる人材を保ちつつダイエットを行う方法を考えなければなりません。


正しいダイエットは、食事の量は減らしても、必要な栄養素は確保し、たんぱく質をとり、筋肉は落としてはいけないわけです。そうすれば、身は軽くなっても、健康体になり、いざという時に活躍できる体になります。そして、その準備として健康診断が重要なわけです。会社の健康診断には、適切な人事分析が不可欠で、年齢構成上の余剰はどこかとか、組織階層上のどこに過不足があるのかなどを見極め、適切な対応をして、スリム化をしなければなりません。また、必要な筋肉である、能力の高い社員に相応な処遇を行える制度にし、彼らの社外流出を防ぎ、モチベーションを維持して社内にとどめ、筋肉質な体を作っておかなければなりません。そうしなければ、次なる飛躍のチャンスを逃すことになるでしょう。また、景気が悪くなったときに、新卒採用を完全にストップすることも望ましいこととはいえません。そして、景気が良くなると大量に採用するといったことを繰り返し、歪な人員構成が高齢化を伴い、人件費の高騰や、実務のコアとなる2〜30代社員の不足等、新たな問題を生じてしまいます。このような状況は、景気の波によって繰り返されることになってしまいます。


会社にとって、健全なスリム化は、余剰人員を年齢別、等級別に正確に把握し、適切な対応をとること。そして、必要な人材を必要な数だけ採用し、採用した人材を適切なタイミングと内容で育成し、高い能力を身につけた社員が、モチベーションを高く保ち、社内にとどまる、ということです。そして、よりよい筋肉を身につけるには、適切な時期に必要なトレーニングや研修をおこない、ジョブローテーションによって多面的な能力を身につける機会を社員に与えることです。そして、身につけた筋肉を落とさないためには、外部労働市場の処遇を考慮したメリハリのある処遇を実施し、能力の高い社員の社外流出を防ぐことが求められます。採用については、景気の動向に極端に左右されない新卒採用が、長い目で見れば、会社には必要だということです。


ところで、私のダイエットですが、多忙を理由に(言いわけです)スポーツジムに行かなくなってしまい、今ではすっかり元のメタボな体型に戻ってしまいました。



(2012年01月10日 安藤 浩平

このコラムをお読みになった、ご感想をクリックしてください。

※下記リンクをクリックする事でお客様の個人情報又は所属団体の情報を収集することはございませんのでご安心ください。
大変興味深い 興味深い つまらない


前回の
コラムを読む
執筆者の
他のコラムを読む
コラム一覧 コラムに関する
サービスを読む
お電話による
お問い合わせはこちら
TEL 03-5213-3931
人事定量分析の決定版「人事アナリシスレポート」
成熟化時代の企業リスク総合診断《MRA》
人事トレンド
コラム
組織・人事関連用語集
事例紹介
メールマガジン