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人事コンサルティング事情
執筆者:林 明文
日本は米国などに比較するとコンサルティング業が未だ発展途上にあります。業界規模を比較しても非常に小さい現状です。私どもの属している人事コンサルティングはその中でも発達が遅れていると言われています。本来の日本における人事コンサルティングの需要が十分に開拓されていない状態であり、適正な業界規模がわかりません。逆に言えば適正なマーケティングを行えばまだまだ成長する分野だとも言えます。
人事コンサルティングサービスを供給する側も様々であり、業界としてあまり整備されている状況にありません。公的資格などもありませんし、業界団体などもありません。また日本にどれだけ人事コンサルタントがいるかわかりませんが、自称も含めても非常に少数ではないでしょうか。大きな法人と言っても、経営コンサルティング会社、シンクタンクなどで少人数の小さな一部門として存在する程度が大きな方で、あとは個人コンサルタントが圧倒的に多い状況です。独立した人事コンサルティングサービス提供する組織で何十人単位の組織はこの業界では大手であり数社しかないでしょう。当社でも人事制度コンサルティングでは大手と認識されるくらいです。
人事コンサルティングの業界は、日本の歴史で言えば平安時代くらいでしょう。市場の開拓が十分ではなく、小さな豪族が各地を分割支配している極めて原始的な状態です。奥州や蝦夷地などを含めて国土すべてが認識されていない統治されていない状態だからです。別な表現で言えば医学では江戸時代的です。様々な医療が個人の医者により提供されており、病気やその治療法が明確でありません。健康状態の把握の方法も医者によって異なり、しかも問診が主たる診断方法でした。効くかどうかわからない薬を提供しているにすぎず、病気を治す確実な治療法や症例が共有されていません。
同業者をことさら悪く言うつもりは毛頭ありませんが、個人の学歴や職歴を強調し、人の書いた本を自分の知識のように話すコンサルタントが多すぎます。人事管理を合理的科学的に解析し、その診断方法や治療方法も含めて業界として人事管理のレベルを向上するという感覚が存在しないのです。そのためノウハウは個人に属しており、問診の結果、クライアント企業に効くかどうかわからない治療方を提供しているように見えます。人事コンサルタントと詐欺師は何が違うかは、当初から騙すつもりがあったか否かと言われるくらいのお粗末な品質のサービスも見られます。
企業の人事管理レベルが向上しなければ、日本企業の将来はないくらい重要な管理領域ですが、テクノロジーや事例などの研究開発があまりに遅れています。しかし業界内の人達はこの状況でよいと思っているようです。この閉鎖されたレベルの低い状況を打破するためには、情報の公開、テクノロジーの研究、人材交流、業界のルール作りなどやらなくてはならないことがたくさんあります。また規模のメリットも追求しなくてはなりません。必要なサービスを適価で安定して提供するためには、人事コンサルティング会社は多少の大きさになる必要性があります。
人事に関するコンサルティングは、主に調査と人事制度設計が主となります。この狭義の人事コンサルティングに近い領域として、人事関連サービスを提供する企業が数多くあります。採用や人材教育、給与計算、人事システムなど様々なサブ領域がありますが、これらのサービスもクライアントの本来的なニーズに対して、縦割り子割りなサービス提供であります。クライアント視点に立てば上流から下流まで一貫して必要なサービスを受けられることが望ましいでしょう。人事の実サービスを提供している企業も人事コンサルティングを提供していると表示していますが、実際にはコンサルティングと言えるレベルではなさそうです。いずれにしても企業が必要とする人事コンサルティング及びその周辺サービスについては、平安か江戸かはわかりませんが、近代化の夜明けが来ていないことは確かです。時代の要請はこのようなレベルを許さないでしょう。当社も含めて急速にこの業界を改革しなければなりません。いままでの一匹オオカミや小豪族の集団のような業界からある程度の規模で強力なソリューション提供を適価で提供する企業が必要だと強く感じます。微力を尽くすなどという言葉はあまり好きではなく、日本における人事コンサルティングサービスのあり方を根底から変革するために全力を尽くしたいと思います。
(2011年12月26日 林 明文)
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