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占いと適性テスト
執筆者:林 明文
人間には悩みはつきもので、人生においての大きな問題や悩みがあると何かに頼りたくなるものです。占いは人生の重大な問題の解決のために非科学的な手法で問題の分析、解決の方法についての示唆をするものです。世の中にはいろいろな占いがあります。手相や顔相、生年月日による占い、その他様々な占いの手法や流派があるようです。個人的には占いは全く信用しないタイプですので、どんな手法があるか体系的に理解していません。自分の人生は自分の意志と行動とそれ以上に偶然で決定すると思いこんでいますので、手の平を見てもらい人生の示唆をもらおうなど全く理解できなのです。占いそのものについての価値を否定しているのではありません。価値を認める人にとっては重要な示唆を与えてくれる心の拠り所なのでしょう。
さて、よく適性テストなど個人の職業人パターンや行動特性、保有能力のテストを行うことがあります。新入社員はともかくとして、すでに働いている社員に対して動機付けや自己認識の目的でこのような適性テストの実施を散見します。そのため多くの企業がこのような適性テストを提供しております。内容もレベルも様々ですが、基本的にはテスト形式で回答を統計的処理し、本人の職業人としてのある種の判定評価とパターン化を行っています。中には怪しい内容のテストもありますが、よく売れているテストや売れていなくともよいテストはあり、有用なツールであると思います。敢えて言うのであれば人事評価と適性テストの関係性や連動性については議論があるところでしょう。
しかしながらテストそのものはよいとしても使い方がいただけません。ほとんどの企業ではテストを実施し、その結果を上司や本人に開示しフィードバックします。このフィードバックによって、本人に対して客観的な自己認識を確認させ、今後の自己研鑽のベースとすることや、今後のキャリアプランを考えさせるきっかけにしています。悪く言うと個人に対して個別にフィードバックするだけですと、占いやおみくじと根本的には違わないのではないかという事です。そもそも科学的理論的に絶対に正しいテストはないでしょうし、テストの結果、適性のあるキャリアパターンなどが推奨されますが、同じ営業といっても会社によって知識やスキル、マインド、行動はすべて異なります。それを一掴みに営業タイプ、管理部門タイプなどと開示すること自体がナンセンスです。フィードバックを受けた本人も、どこまでこのテスト結果に対して真摯に向き合うかは本人次第です。おみくじが大吉ならば信じるし、凶ならばたまたまと思う心理に似ているかもしれません。
適性テストの本来的な価値はこのような占い的な使用ではありません。ある程度結果に対する信頼度の高いテストであれば、テスト結果を受けて社員の配置を大幅に変えるくらいの重要性で扱うべきでしょう。これは適性テストの結果を個人単位で個別にフィードバックするのではなく、個人の集まりとしての組織への人員配置を最適化するために使用できる可能性があるからこそ本来的な意味があるのです。企業では必要なポストや職務はほぼ決まっています。このポスト、職務に誰を配置するかを決定する重要な情報を提供しているのです。このようなことを行おうとすると膨大な統計的処理(組合せ計算)が必要になりますが、人員配置の適正化と個人への占い的フィードバックとどちらが経営に貢献するかということです。
今後人事管理が高度化する中で、人員配置についても合理性や科学性が進行していくでしょう。人の配置によって企業業績に決定的に大きな影響を与えるからです。占いとしての適性テストか、経営貢献のための人員の適正配置のための適性テストか、ということです。
(2011年12月19日 林 明文)
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