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等身大
執筆者:林 明文

 秘書という職務は非常に難しい職務です。上司(ボス)のスケジュール管理などを行うことになりますが、上司の考え方や性格をよく理解しないとうまくいきません。また上司が効率よくかつ働きやすい状態にすることが求められます。気の利いた秘書はなかなかいないというのは、上司の生産性やモチベーションを上げるにはよく人物を知らなくてはなりません。よい秘書がいないと嘆く経営者には自身の情報提供と秘書自身の能力問題と両方あるのでしょう。まずは上司の仕事の重要な部分を担っているという責任があることを上司も秘書ももっと認識しなくてはなりません。


  逆にこんなケースもあります。上司が雑事にかかわり合わないように、秘書が外部からの連絡だけでなく、内容までの判断を過度に行うケースです。よく言えば気が利きすぎるということです。ある企業の社長秘書の話ですが、こちらが社長に用事があって電話で連絡しても、なかなか繋いでくれません。社長と私はよく見知った中で仕事上も密接に関連があることを秘書も知っているのですが、用件を話さない限り取次がないというのです。しかたなくその概要を簡単に話をしたところ、もっと詳細に話せということです。そんなことは社長に話すから秘書には関係ないという意味をやんわり話しました。しかし用件を詳細に聞かなければ電話をつなげないとの一点張りです。結局この時は電話で話はできませんでした。この企業に対する仕事の依頼の相談でしたが、結局他社に依頼することにしました。

 
  この社長とはその後ある会合で会いました。その時に優秀な秘書ですねと軽くジャブしたところ、社長にはジャブは効かず、ありがとうございますと言われました。過度な秘書の行動や意識の原因はこの社長にあるのだなと感じました。雑誌などからの取材が多少増えたこともあり、分かりやすく言えば威張りたいところがあります。威張るというよりも大物に見せたいといのが正確でしょうか。社長の言動にちらちらそのようなものを感じました。


  自分の評価が周りの評価と合っていないと等身大でないと感じます。人間ですしビジネスマンですから、自然に自分を大きく見せようとする意識が誰でもあるでしょう。社長自身の等身大でなく、より大きく見せたいという意識と行動が、秘書にあのような行き過ぎた行動をとらせるのでしょう。同じようなスタンスや言動が伝染してしまったのです。この社長は残念ですが最近ではあまりよい評判は聞かなくなってしまいました。またこの会社の秘書の言動に腹が立つという経営者仲間が何人かいました。理想の秘書とは何かなどと数名で真面目に話をしたくらいで、話題を提供してくれたことには感謝いたします。


 等身大であることとは自分の評価と周りの評価が同じということです。また周りの評価より自分の評価が適度に低い人物は、謙虚であり逆に尊敬されることが多いと思います。
“実るほど頭を垂れる稲穂かな”昔の人は良い言葉を残すなと思います。



(2011年12月05日 林 明文

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