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再就職支援業小史(成長成熟期)
執筆者:林 明文
バブル崩壊後それまで存在が認識できないほど小さかった再就職支援業界も急速に大きくなっていきました。まだ初歩的な段階ではありつつも業界団体も設立され、世の中の一般的な認知が定着しつつありました。経済環境は依然悪い状態が続き、これは逆に再就職支援業界としては今後の成長が大きく期待されるということです。
急激な高度成長はバブル経済と同じように突然終焉を迎えることも薄々わかっていました。景気が悪い状態が続く中で再就職支援会社はできるだけ成長することが需要として求められていましたが、逆に景気回復期の大きな落ち込みへの対策も考えなければなりません。できるだけ競合に打ち勝つことと、その結果大きくなった会社を景気回復期にどう存続させるかが同居した問題であったと言えます。
この業界の中期的な見通しを深刻に計算していた会社もあれば全く認識していない会社もありました。高度成長とともに成長後の自社の姿を描かなくてはならない成熟期が同時期に訪れたということになります。各社の戦略はいくつかのパターンに分けることができます。また逆にいくつかのパターンしか選択できなかったとも言えます。
一つは再就職支援事業をメインとして他の新規事業を育成して独自に生き延びるというものです。再就職支援事業は早晩バブル(よくリストラバブルと表現をしていました)がはじけることが明確ですので、それに変わる新規主力事業を育成、買収しなければならないということになります。そのため株式公開をすることもこの戦略の実行には重要なポイントになります。実際にこの業界では2社が株式公開しました。次は人材サービス会社(人材紹介人材派遣など)の傘下に入るということです。景気後退期には再就職支援は成長し景気回復時には人材紹介が成長するというバーターの関係にあることと、業務ノウハウが近いということで考えうる戦略の中でも有力な案の一つだったと思います。第三の戦略は再就職支援のグローバル企業の参加に入ると言うものです。米国などでは再就職支援サービスは景気にあまり影響されずに一定の需要があります。解雇の自由があるために毎年一定の会社都合退職社が発生するからです。大手グローバル企業の参加にはいることにより、日本市場の中で景気後退期には縮小はしますが日本の外資系企業の需要を掘り起こすことによって現地法人としての役割を果たすと言うものです。
高成長期に同時にこれらの中期的戦略を選択しなければならないという特殊な状況でした。常に景気回復というXデーがいつくるかを考えながら各社は様々な経営を行います。ドレークビームモリンは典型的な第一のパターンであった思います。早期に株式公開を果たし、その知名度により業界での順位を不動のものにしていきます。また教育関連の企業を買収するなど新規分野への展開を模索し始めます。しかし新規事業が再就職支援サービスに代替する規模や期待のものではありませんでした。ウエイステーションの戦略は少し複雑でした。日本型再就職支援サービスの代表企業として今まで強かった日系企業に対する更なる営業浸透を強めるとともに、株式公開も視野に入れ新規の事業分野を模索します。また外資系企業への営業浸透を抜本的に強化するために世界での最大手でナスダック上場企業であったライトマネジメントとの提携に成功します。ライトとの提携を継続しながら自主独立路線を模索するというものでした。米国ライトマネジメントによるクーツキャリアの吸収により日本でもクーツキャリアを併合し、短い成熟期に近づくにつれ自主独立路線からライト傘下路線へと舵を切ることになります。最終的には米国ライトの強い要請もありライトの日本法人となる道を選択しました。
他の企業も成長しながら様々な動きをしました。ヒューマネジメントは株式公開をすることに最大の注力をし、公開を実現しました。しかし公開後の経営計画に新機軸はなくリストラバブル後の戦略が明確ではありません。これらの企業の戦略が代表的なもので他の企業も様々な戦略と思惑を持ちながら成長していきました。しかし景気の回復とともに今まで極めて高い成長をしてきたこの業界も成長が止まり、翌年以降は大きなマイナス成長となります。再就職支援サービスがもうすこしゆっくりとした成長であれば各社の動きやその後のあり方も大きく異なっていたでしょう。成熟期が極めて短かったことがこの業界の大きな特徴でありました。
(続く)
(2010年07月26日 林 明文)
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