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合理主義宣言
執筆者:林 明文
この数年間で人事分野の“見える化”という言葉をたびたび目にします。バブル崩壊後に人件費に対する管理が厳しくなってきたこと、労働市場が発達したことなどの要因から、企業の人事は、以前には発生しなかった問題が発生するようになりました。人件費を代表とする人事問題は経営者や銀行、親会社、株主などに十分な説明ができなければならない状況になってきた背景があります。そのため、いままではよくわからなかった人事の状況をもっと一般に分かりやすくすることが求められてきたということでしょう。そのため“見える化”という言葉がたびたび使用されるようになってきたと解釈できます。
私自身はこの“見える化”という言葉そのものに2つの点で抵抗を感じます。一つは“見える化”という言葉は人事が周囲から求められている要求に対して本質的な回答をしていないということです。見える、見えないということを要求されているのではないと言うことです。人事管理が適正に機能しているかを問われているということです。“見える化”というと、本来人事機能の合理性や理論性に問題があるということを隠してしまい、誤解させるのです。
二つ目は命名の軽さです。“見える化”という言葉は軽すぎます。人事管理が直面している問題に対する一つのトレンドを表現するのに、いままでよく見えなかったものを簡単によく見えるようにしましょう程度の言い方のように思えます。もっとよい命名にするべきではないでしょうか。
リーマンショック後の企業の人事管理は、バブル崩壊後同様かそれ以上に周囲に説明のできる適正な管理であるかが強く問われています。人件費の適正さや人数の余剰や過剰、給与の高低、社員のモチベーション状況、将来の人員数や人件費などを正確に把握する必要性が極めて高くなってきているということです。そうでなければ現在企業で発生している人事の問題課題は解消できないのです。過去の人事管理の延長線上で問題課題が解決することは困難でしょう。今後、人事には、合理性、論理性、科学性といったスタンスが極めて重要ということです。
現在の人事部は以前に比較して企業内の地位が相対的に低くなっていると思います。管理分野では、経理の地位が、非常に重要性が高くなり、人事は相対的に低くなりがちです。管理本部長なども経理系出身者が多いのではないでしょうか。これは経理財務情報が企業にとって不可欠であるからです。また会計情報か得られる企業状況の分析が経営計画策定に極めて有効だからです。人事は管理分野としては後追い分野、実務処理分野になりつつあります。人事管理が経営目標計画達成の極めて重要なキーであるのであればもっと人事の状況を正確に把握分析し、人事管理として経営計画を保証するくらいのレベルになるべきです。そのためには、自社の人事を正確に誰にでもわかるように分析し、その結果として経営施策を提言する機能を持たなければなりません。
人事は徹底した“合理主義”に立たなければなません。また実務を処理する組織ではなく政策を提言して、人事という観点で執行、管理する組織でなければなりません。今後強い企業に成長していくためには、人事で差別化することが一つの戦略となり得ます。当社のコンサルティングは徹底した“合理主義”です。人事分野の格段の発展とその結果としての企業の成長のために、“合理主義”にこだわった発信をしていきます。
以上
(2010年06月29日 林 明文)
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