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翌日から効果の出る研修
執筆者: 森 大哉
教育研修といったものはすぐに効果が出るものではない、という声をよく聞く。そうでもないと思う。やりようで、早い効果を期待することはできる。
あるクライアントでの例。この会社ではずいぶん念入りな新入社員研修をするのに、現場配属後に所属長から総務部に「(新入社員は)なってない」と文句がついたり、3ヶ月も経ったころに大勢辞めてしまったりするようなことがあった。理由を調べてみると、配属前に本人が思い描いていた仕事と実際の仕事との間に大きなギャップがあったようだ。業界の特性上少し荒っぽいお客さんが多い中、驚いて右往左往している間に、業務についていけなくなってしまうのだ。
そこでこの会社では、「現場配属後ただちに実務についていけるようにする」、ということを眼目において、導入研修を組みなおした。具体的には、たいていの問題に落ち着いて対応できるだけの疑似体験を、たった2週間の導入研修で積ませる、ということを実行したのだ。それまで講義一辺倒だった導入研修は様変わりした。
責任部門の総務部では、他部門の応援も得てプロジェクトチームを作り、営業所の「受注」のシーンを、実際を模した演習により体験させることにした。営業所と同じ設定の部屋を作り、電話を準備し、受注入力用のPCを設置した。 そして、シナリオを書き、お客さんを演じて注文の電話をする人、倉庫の係員を演ずる人など、役割を決め、練習をした。研修実施のころには、結構な役者さんが揃った。
第1のシナリオはとても単純でオーソドックスな注文のシーン、それがきちんとできたら少し複雑な第2のシナリオに進む・・次第に注文内容は例外的なものになり、複雑化し、お客さんも厳しい人や、「わからずや」になっていく。事前の講義で学んだ製品知識では追いつかず、製品仕様書を紐解き、本社の技術部門に電話で確認しなければならない場面も生じるように「仕組まれて」いる。新入社員にとっては強い緊張の時間が絶え間なく続く。しかし、第7のシナリオを終わるころには、問題を落ち着いて処理する度胸も整い、口の聞き方もそれなりにしっかりして、社内のどの部門に何を聞くとどんな情報が得られるか覚えてしまう。
効果はてきめん、営業所長からは「最近の若いのは結構しっかりしている」との評価を得、入社初年度の離職はドラスティックに減った。
クライアントがこの研修実施を通じて得た研修設計のコツはふたつ。「即物実践を徹底すること」と、「易しいことから始めて、だんだん難しいことに挑戦させること」だ。工夫次第で、研修効果は短期間に得られると思う。
(2010年06月16日 森 大哉)
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