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適正人材配置
執筆者:林 明文
人事管理の分野でもっとも合理的でない代表的な分野は人材の配置だと思います。企業は経営計画達成のためにもっとも適していると思われる組織を毎年編成します。またそれぞれの組織に最適だと思われる人材を配置します。この人材の配置いかんによって企業の業績を左右することになる極めて重要な管理です。特に管理職以上の人材の配置については経営に対する影響度合いは大きく、“最適さ”が求められるのではないでしょうか。
この人材配置についてはさまざまな意見があります。上級管理職以上の配置については社長をはじめとしたトップマネジメントの専任事項であり、経営者としての感性や判断が問われる部分であり、ブラックボックスでよいという意見もあります。要は経営者が自分のマネジメントが行いやすいように自分の主観で判断するべき事項であり、この分野に合理性や科学性といった視点はいらないというものです。
経営者や人事部門が行う人材配置は、実際には非常に高度な判断をしているといえます。例えば10個の部長ポジションがあり、一つずつのポジションに3人の部長候補がいるとします。考えられる組み合わせは3の10乗ですので約6万通りあります。経営者はこの6万通りの中から1つの組み合わせを選択しているということになります。選択した一つの組み合わせよりも、もっとよい組み合わせがあるかもしれません。よりよい組み合わせを選択するためには、この6万通りの組み合わせをなんらかの評価をしなくてはなりません。その結果もっともパフォーマンスの高い組み合わせの人材配置が最適な人材配置と考えられます。
仮に企業の人材配置を最適化しようとした場合には、次のような考え方が必要となるでしょう。まず各ポジションに必要な能力や人物像の基準が必要となります。例えば経理部長のポジションであれば、経理に関する知識や経験が必要になります。また不正な経理を行う可能性のある信用できない人材は経理部長には不向きでしょう。人物としては信頼性が高いことが重要視されます。他にもこのポジションを担うにはいろいろな能力や要件があるはずです。ポジションの能力や人物的な定義が明確になったら、次に候補者の評価が必要となります。経理部長に必要な基準で評価して多くの基準を満たしている人材が候補者になるべきです。毎年行う人事評価のデータなどが使用できれば効率的でしょう。最適な配置を判断するためには、このようなポジションと候補者になる社員の評価を行い、考えられる組み合わせを計算し比較することによって最適な人材配置を決定できるということになります。
当社では“最適配置”というサービスがあります。当初はあるクライアントの依頼で開発したものです。このクライアントでは社員の能力のレベルの差が大きく、少ない優秀な社員をどこに配置するのが経営として効果的かを知りたかったということでした。必要なデータを入力するだけで最適な人材の配置案を計算するという画期的なツールです。開発当初また現時点でも当社で開発したサービスの中での傑作だと思います。(開発の責任者が筆者ですのでそう思っていると社内では言われていますが)しかし当社のサービスの中で最も売れていないサービスです。このサービスに興味を持っていただける企業も多く、詳しい説明もさせていただいています。一様に面白いサービスだといっていただけます。しかし実際にこのサービスの提供はわずか数社にとどまっています。理由はさまざまですが代表的なものは次のようなものでしょうか。
−ポジションに必要な能力や要件を整備するのが大変である
−人事評価から得られる情報がこの考え方に活用できない
−考え方は合理的だが人材の配置は人間関係などで決定している要素が強いので当社になじまない
人事管理はより合理的科学的でなければ経営に貢献できないという考え方は全体として受け入れられるものであることは確かですが、人材の配置まで合理的に行うことは、経営者や人事部門の大事な部分を侵食しているという感覚があるようです。経営者や人事の腕の見せ所であったり、理屈でない要素も含めて人材配置を決定することが大事だということのようです。人事管理がより高度化していく中でこの最適人材配置のようなサービスがどこまで浸透するか非常に興味深く思います。是非多くの企業とこの分野に対する議論を深めたいと思います。
以上
(2010年05月11日 林 明文)
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