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新入社員に求める『覚悟』
執筆者:高柳 公一
先日、角界から引退した朝青龍。TVで見ていて、随分と貫禄があると感じ、何歳(いくつ)なのだろう? と、調べてみれば、まだ29歳・・・。
朝青龍のみならず、一般にスポーツ選手の寿命は短く、多くは20代、30代で引退する。聞けば、水泳やフィギュアスケートは20代前半、サッカーや野球で30歳前後、プロレスや競馬の騎手で40台前半で、おおよそ引退するそうだ。
先日亡くなった巨人軍の木村拓也コーチもそうだが、
現役引退後、コーチとして引き続き活躍する選手もいる。が、その数は限られている。スポーツの種類にもよるだろうが、現役選手の数に比べて、監督やコーチといった、言わば『管理職』の必要人数も限られているだろうから、後進の指導や監督の職につくのはさほど多くはなく、大半の選手は、引退後、別の世界を歩むことになる。
オリンピックで金メダルを獲得したり、人気スポーツのスター選手として現役引退するのであれば、周りは放っておかないだろうから、仮にその世界の『管理職』にとどまらなくても、次のキャリアに困ることはないだろう。
しかし、そうした例外的なケースを除いて、多くの引退選手は、まったく異なる業界へ恐る恐る入り、第2の職業人生を始めていく。
傍からみれば、過酷な世界のようにもみえるが、もともと、スポーツ界はそういう社会であるという了解が世の中にある。引退する選手も、最初にその世界に身を置く決意をした時から、それを覚悟して過ごしてきたと言える。
では、一般企業の場合はどうだろう。
一般企業の場合、スポーツの世界に比べれば、現役選手でいられる期間は長いかも知れない。それでも、多くの企業において、仕事のパフォーマンスのピークはせいぜい40代だろう。もちろん、現場の社員をまとめ、指導・管理していく”管理職”や、高度な技術を何十年にわたり磨き続けていくようなスペシャリスト的な“専門職”については、体力的なピーク年齢を大幅に超えて、継続してレベルアップしていける仕事と言える。
ただし、そうした“管理職”、“専門職”として必要な人材の数は、社員全体の中の割合としては限られている。全ての社員に、“管理職”や“専門職”のポストが用意できる訳ではない。つまり、一般企業においても、“管理職”や“専門職”として活躍できる人数枠に入らなかった社員の場合は、30代、40代に仕事のピークを迎えたあとも、定年までの20年、30年の間、同様の仕事をしながら、同様の処遇のまま、働き続けていかねばならないのだ。
経済や企業が成長期にあれば、組織の拡大とともに、“管理職”、“専門職”の必要絶対数も増加していくだろうが、停滞期においては、その数は減ることはあっても、増えることはない。
また、定年まである程度、正社員の雇用が保証されている一般企業においては、仕事のパフォーマンスのピークを過ぎた社員が、スポーツ選手のように、必ずしも、引退せざるを得ないことはないが、ピークを超えた社員に対して、その提供する付加価値を超えて昇給を行えるだけの経済的余裕がある企業が少なくなった今、そうした社員達のモチベーションを維持することは、企業にとって、大きな問題になりつつあると言える。
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先に述べたように、スポーツの世界では厳しい現実を認識して、若者は、覚悟の上で、その道に飛び込んでいくだろうが、一般企業の場合、同様の現実を十分把握した上で、入社してくる社員は、まだ少ない。
企業の新卒募集の冊子やウェブ上のページを見ても、入社後、10〜20年後に、管理職、専門職になれる社員の割合が限られていることを、明確に伝えているケースはあまりない。一生懸命、まじめに働いていれば、仮に大きく出世ができないとしても、将来にわたって、モチベーションを維持できる程度の処遇の下で、職業的キャリアを定年まで継続できるという期待とともに、入社してくる社員の割合は、かなり多いのではないか。
企業側は決して、新入社員を騙しているつもりはないだろうが、結果として、
将来、話が違う、と感じ、モチベーションを低下させる社員は、きっと増えていくだろう。
今や、スポーツの世界と同様に、社会として、企業として、若い世代に対し、もう少し具体的に想定される中長期的なキャリアを示し、『覚悟』を持って、社会や企業に入ってきてもらう事が求められているはずだ。
(2010年05月07日 高柳 公一)
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