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自分の定年は、自分で決める
執筆者:吉岡 宏敏
2006年に「改正高齢者雇用安定法」が施行されて4年。95.6%の企業が同法に基づく取り組みを実施済みであり、60歳以上の継続雇用のしくみは定着したように見える。
とはいえ、希望者全員が継続雇用できる企業の割合は41.8%。これに関して、二種類の質問を受けた。
41.8%を「少ない」とみるメディアは、たいていの会社は自社の選定基準に沿って継続の可否が決まるわけだから「どうすれば“あなた”は再雇用されるのか」とのテーマで聞きたいと言う。
また、41.8%に含まれる企業の人事担当の方からは、このままいくと継続雇用の負担が蓄積していくので、「ゆるやかに早期の社外転出を促進する方法はないか」との相談を受ける。
一つ目の質問への答えは簡単だ。会社が欲するのは、「成果を出し続ける人材」に決まっている。「再雇用」は成果をあげた結果に過ぎない。職務の成果を上げる続けることに注力すべきで、“再雇用の獲得”を狙うといってもそれ以外の術はない。
むしろ「会社に選ばれる」ことに目を向けるのではなく、継続雇用を自分にとって多様な働き方を選択する機会と見るほうがいい。そうすることで人生の選択の幅が拡がる。
シニアになれば、気力、体力、能力は人それぞれで、決して一様でない。長い経験の中で形成されてきた働き方の価値観も様々だ。60歳になっても第一線で頑張り続けられる人もいれば、フルタイムはつらいが、なんらかの形で組織を支える仕事に経験を活かしたいと思う人もいる。
大事なのは、60歳の転機を前にして、その後のライフキャリア(引退も含めて)の道筋を「自分の意思で選ぶ」ことだ。継続雇用先にありきではなく、自分の望む働き方が継続雇用で可能ならば選択し、そうでないなら社外で探す。55歳でその判断をするのもいい。雇用延長が意味するのは「自分の定年は、自分で決める」時代が来たということである。
これがメディアに答えた「再雇用されたい“あなた”」へのメッセージだった。
一方、企業に求められるのは、「個人が定年を選択できる仕組みを用意する」ことだ。これが、二つの目の、41.8%に含まれる企業、つまり「全員、再雇用されることができる」企業の方の問いへの答えでもある。
仕組み、とは「選択肢の用意」と「選択を考える機会」である。継続雇用の職務のバリエーションはもちろんだが、60歳になる前から、時間をかけて考える道筋を用意することだ。
50歳になったら個々人が考える機会を提供する。企業人事的な言い方でいえば、早期定年制や役職定年制を60歳以降の再雇用制とあわせて再編・統合し、退職管理のしくみとして再設計するということにすぎないが、ここはやはり「自分の定年を、自分で決める」制度という言い方をしたい。企業と個人の双方にとって分かりやすいし、なにより施策の、運用の機微を整えやすいはずである。
(2010年04月22日 吉岡 宏敏)
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