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2009年、組織も個人も勇気を持って前進しよう
執筆者:芝沼 芳枝

 例年日本経団連から1月1日付けで提言が発表されるが、今年2008年は以下の内容であった。


    「成長創造 躍動の10年へ」
    2008年を日本経済の次なる「躍動の10年」に向けた
    スタートをきる年にしたい

 その中で、“今後10年以内に主要国中で最高水準の所得を実現することを目指し、あらゆる政策手段を結集すべきである”としている。
 一方で、発表された内容にはサブプライムローン問題、米国経済の減速懸念、原材料価格の高騰、国内の政治動向等、先行きの不透明さを暗示する文言も含まれていた。
 このように、懸念事項を沢山抱えながらも、日本企業丸は2008年初頭には「希望の国」実現を信じて春の海を滑り出している。ところが、懸念事項はことごとく的中し、年の瀬を迎える今、景気の悪さを伝えるニュースに事欠かない状況にある。

 最近の一連のニュースの中から「派遣切り」に関して個人的に考察することを書いてみたい。毎日色々な情報が入ってきて考えも一定しないのだが、書くことでもやもやが晴れることを期待してチャレンジしてみることにする。

●労働者派遣法は何を実現したいのか
 同法に違反したとして今年1月、グッドウイルに業務停止命令と業務改善命令が出た。これをきっかけに違法派遣や偽装請負等、一気に社会問題化した。
 そして今、急速な景気の悪化に伴い派遣社員をはじめとする非正社員の雇い止めが相次ぐ。そもそも労働者派遣法は86年に施行され、99年に対象業務が原則自由化となり、04年からは製造派遣も解禁された。07年3月には雇用期間が3年まで延長されたことにより一挙に派遣シフトが進んだが、その3年の期間満了を迎える来年、企業がどのような対応を採るのか注目されていたのが「2009年問題」である。しかし、自動車業界をはじめ、2009年問題の対応を待たずに「派遣切り」が広まっている。
 「派遣切り」ということで企業が一方的な悪者扱いにされているが、果たしてそうだろうか。確かに「派遣切り」の中には契約期間満了前に雇用を打ち切る便乗型のものも含まれているだろう。派遣社員の場合、人事部が担当するというよりは各部署が担当することが多いだろうから適切な対応が採られていない可能性も否めない。しかし、ここまで深刻となっている背景には、製造業の場合、寮など住宅付きであることが多く、職を失うと同時に住も失うことになる点が挙げられる。日本の場合、住所不定だと職探しが困難なためホームレスになり兼ねない。実際、ここ数週間、炊き出しなどの映像が多く報じられるようになった。「派遣切り」を伝える一連の報道には身を切られる思いがする。

 それでも、果たして企業だけが悪いのか?そもそも企業が非正社員を雇用する理由には、業務量変動に対応する目的で雇用の調整弁的役割を求めていることが一番に挙げられるだろう。国際競争力の強化が求められている日本企業にとって人件費の流動化が促進される派遣社員の出現は好都合だったに違いない。それを可能にしたのは派遣法ではなかったのか。それとも、この急速な景気悪化がなければ、3年の期間延長後には直接雇用が促進され雇用の安定を招く法律という評価を受けることが決まっていたのだろうか。

 現在、派遣法の改正が検討されているという。その行方を見守りながら法の趣旨を見極めたいと思う。

 来年1月1日付けで日本経団連からはどのようなコメントが出るであろうか。この不景気が来年いっぱい続くという見方をする人もあれば、いやいやもっと続くという人もいる。
 どちらにしてもあまり楽観視はできないようである。なんと言ってもスリム化でならされ筋肉質に鍛え上げた自動車業界ですら更なる鍛錬を要求されているのだ。米国では財政支援を請うビッグスリーの態度に批判が集中し、JALの西松社長の倹約ぶりが高い評価を得ている。最早広い道路を作り、大型の自動車でガソリンを満タンにして消費する時代が終焉を迎える時期に来ているのかもしれない。そんなことを暗示させる年の瀬である。

 だが、状況がよくなることを信じて行動しよう。伏し目がちな視線を上げて前を向こう。日本人はもともとつつましく暮らしていける術を心得ている。少々のことにはへこたれないはずである。海の向こうの米国では史上初の黒人大統領が誕生し、国民は巨大化した大国でも変われるのだ、という希望を感じ取った。

 最後に、今年何度も遭遇した言葉を贈りたい。ダーウインの言葉とのことだが、真相は定かではない。それでも、今まさにはまる言葉であることは確かである。

    「最も強い者が生き残るのではなく、
    最も賢い者が生き延びるでもない。
    唯一生き残るのは、変化できる者である」

 2009年が社会、組織、個人にとって実りある1年であるよう心を込めて。


(2008年12月25日 芝沼 芳枝

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