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コラム





企業年金制度の現状と課題について

企業年金制度については、昭和37年に創設された適格企業年金制度および昭和41年創設の厚生年金基金が中心となり、企業の従業員の老後の所得保障の充実に大きな役割を果たしてきた。
 しかし、少子・高齢化社会の本格到来、バブル崩壊による経済の長期低迷、雇用の流動化、企業分社化・統合化など、企業の形態を含む社会経済状況がそれぞれの創設時と大きく変化した。
 また、企業会計基準の見直し、金融市場の緩和、雇用慣行の変化・多様化に対応し退職給付制度を取り巻く環境も変化した。
 こうした状況・課題に対応し、時代要請に応じた企業年金制度にするため平成13年10月にアメリカの401(k)プランを参考に確定拠出年金法が施行された。加えて平成14年4月には、公的年金の代行部分がない確定給付型の企業年金制度の創設を図る確定給付企業年金法(適格退職年金の制度崩壊による新制度への移行ルールも記載された)が施行された。現在では、確定拠出年金の加入者は平成19年4月末現在250万人になるとともに、確定給付企業年金の加入者は平成19年7月1日現在で478万人に達するなど、両制度は着実に普及・定着されてきた。
 しかしながら、平成23年度末には、適格退職年金が廃止されることが法律で決定されているにも関わらず、適格退職年金制度の加入者は平成18年度末で3万9千件、506万人が残っている。移行期限まで残りわずかな期間となった場合、新制度へ一律移行か解約となってしまうのが心配である。一律移行は現制度の修正の必要性があるにもかかわらずとりあえずの移行となり企業固有の事情が斟酌されない。解約となれば退職の事実がないため税務上退職所得扱いとはならず一時所得扱いとなり税メリットが享受できなく、加入者の手取金額は退職扱いより悪くなる。いずれにしても企業年金制度を含む退職金制度は従業員にとって有用な制度なので解約は避けたい。

 確定拠出年金法および確定給付企業年金法の附則において「施行後5年を経過した場合において、この法律の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と規定されているが、両制度は、各々平成18年10月、平成19年4月で施行後5年を迎えており、両制度とも施行状況を検証する時期となっている。

 課題として確定拠出年金については、
  1. 他の企業年制度がある企業に雇用される第2号被保険者の確定拠出限度額が企業年金制度のない企業に比し半額となっており、公平性確保の見地から確定給付企業年金等他の企業年金を実施しかつ企業型確定拠出年金の実施がない企業の従業員の個人型確定拠出年金への加入を認める方向での検討の必要性
  2. 拠出年齢制限(60歳)の延長の必要性。これは改正高齢者雇用安定法の施行に伴い、65歳までの雇用確保が義務づけられたが、現行制度では60歳までしか企業は掛金を拠出できないことへの課題である。
  3. 掛金拠出の増額の必要性。ひとつには確定拠出年金制度のみ実施企業の拠出限度額の増枠、また、個人型確定拠出年金の拠出限度額の増枠、企業型確定拠出年金における個人拠出の容認である。
  4. その他として特別法人税の撤廃、中途脱退要件の緩和、継続教育の明確化、投資アドバイスサービスの振興等である。
 次に、確定給付企業年金の課題であるが
  1. 老齢給付金の支給要件緩和であり、高年齢者の雇用促進を図る観点から60歳から65歳までに退職した場合老齢給付の支給が可能となるような要件緩和の検討である。
  2. キャッシュバランスプランの利息付与方法の拡大等がある。
 以上は法律面での課題であるがキャッシュバランスプランを選択した企業にとって回避したリスクは運用リスクの一部である金利変動リスクのみであり、本来の目的には合致していない。本来は運用リスクそのものをなくすことにあったはずである。その意から、例えば実績配当のような仕組みが考えられれば運用リスクすべてが回避できる。このような仕組みを作ることも検討課題といえよう。

以上、適格退職年金制度を残している企業は上記情報を勘案し速やかに移行を考え、新制度へ移行した企業も課題すべてが認められるわけではないものの自社の企業年金制度が適切であるか修正部分がないかの検討が必要と思われる。また、日本版SOX法の対応、現行基準より厳しくなると見込まれる退職給付会計の改正等新たな課題もでてきており退職金制度を検討する場合、専門家の意見を参考とするとともに人事面のみではなく財務・会計的側面はもちろん経営的視野にたった改定を検討すべきではないだろうか。

(2008年1月9日 五十嵐 武昭)  

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