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コラム





「日本に本格的に浸透し始めた再就職支援サービス」

 再就職支援サービスは、1962年に米国で始まりました。当初の企業側の主目的は解雇の訴訟リスク回避であり、労働者を積極的に援助することではありませんでしたが、サービスを受けた人たちの声からサービスの良さが知られるようになり、広がっていったようです。再就職支援はアウトプレースメントと呼ばれますが、‘安全で確実’という意味合いで「セーフプレースメント(Safe Placement)」とも呼ばれ、変化の激しい経済の中での労働力需給において、企業・労働者の摩擦を小さくする重要な位置付けを占めています。フォーチュン誌1000企業(大手)の80%以上が利用していると言われ、中小企業にも浸透しています。
 サービスの対象は、当初は役員クラスから中間管理職が主でしたが、1990年代後半になり、一般の従業員まで、場合によっては時間給で働く人まで提供されるようになってきています。マネジャーと一般の従業員の壁が低くなってきたこと、再就職支援サービスの果たす役割が認知されて来たこと等が理由と言われています。さらには、優秀な人材を採用する際に、再就職支援サービスを付加することを‘売り’にする企業さえ出てきています。
 また、サービス内容もエグゼクティブ向けのプレミアムパッケージ、一般従業員向けの短期コース、オフィスを持たないオンラインアウトプレースメントなど多様なニーズに対応して、幅広いものになってきています。
 一方で、サービス普及により、企業側が安易に雇用削減に走りやすくならないかという懸念もありますが、アメリカにおける40年の歴史の中で、再就職支援会社の存在が企業の雇用削減に拍車をかけた事実は認められず、むしろ、リストラに慣れていない企業が不条理な雇用削減を行なうことのないようサポートしている、という場合が多いようです。

 さて、日本で再就職支援サービスが始まってからまだ日が浅く、本格的に立ち上がったのは1995年頃です。日本経済のバブルが崩壊した後、構造改革を進めるのに合わせサービスが浸透して来ましたが、特に2000〜2002年度にかけては、大型リストラ案件の増加により市場規模は160億円から350億円へと2.2倍の急成長を遂げました。2003年度後半からは景気回復に伴い縮小傾向に転じ、2004年度は前年度比2〜3割減の250億円程度となる見通しですが、2000〜2004年度の平均成長率は年率12%と、中期的には着実に市場は成長していると言えます。
 また、市場規模以外でも再就職支援サービスが浸透しつつある様子がいくつか伺えます。
@再就職支援サービスの利用企業の内訳が、製造業から分散化し、企業規模も大企業から中規模企業へと移りつつある、A公的機関が雇用対策に再就職支援業務を取り入れ民間企業に委託する動きが出てきており、再就職支援事業が雇用対策に有効であると社会に認知されてきている、B「転職援助斡旋制度※」がある企業の割合(2003年度:厚生労働省「雇用管理調査」)を見ると、全規模では0.7→1.2%と微増、そのうち5000人以上の企業では26%と2000年度から横ばいだが、1000人〜4999人では13%と2000年の7%から倍になっている。
※転職先の斡旋、情報提供、援助金の支給、教育訓練など。自社で行うものと外部委託するものを含む。
(参考データ、文献:矢野経済研究所「人材ビジネスの現状と展望 2004年版」2004年9月刊)

 企業を取り巻く環境の変化、競争が益々激しくなる中で、いかに事業戦略・計画に照らして適正な人員体制を維持し続けるか、は永遠の課題ではないかと思います。これまでは、収益悪化局面でのいわば‘守り’の雇用調整が殆どでしたが、益出しのために人件費削減ありきになってしまい、計画達成に必要な人員まで減らしてしまう→計画が達成できない→再度人員削減・・・という負のスパイラルに陥ってしまうケースもまま見受けられました。昨今は、企業業績が落ち着き、全体的には大型のリストラ案件は減っていますが、某大手電機メーカーのように増益下でも、将来の市場の変化を睨んであるべき姿を描いて雇用調整を断行し、最適人員体制を構築するという、‘攻め’の雇用調整が出てきています。足元の業績だけを見て現状に満足するか、先取りして最適人員体制を構築するか、この差がより企業の競争力を大きく左右していく要因になるのではないでしょうか。また、導入が進んでいる成果主義人事制度も、人員体制、コストを最適に保つための施策の一つと言えますが、これを本当に機能させていくためには、恒常的な人員代謝は必然になってきます。

一方で、働く社員の側も、一生同じ会社に所属するのではなく、より自分に合った仕事を見つける傾向が強まってきています。企業側としては、長年社内に抱え込み、市場価値が無くなってからではなく、むしろ早めに社外への転進を含めてビジネスキャリアの選択肢を提示する方が、社員にとってメリットが大きいのではないでしょうか。さらには、少子高齢化が進む中、社会全体にとって雇用のミスマッチ解消は非常に重要な課題となっています。こういった企業、個人、社会の変化の中で、再就職支援サービスは、人と企業のミスマッチを解消する一つの重要な役割を担っていくのではないでしょうか。

(株式会社リクルートキャリアコンサルティング 人材開発部
営業企画グループ ゼネラルマネジャー 川島 隆一 敬称略)  

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